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細胞培養に抗生物質を使用する理由

細胞培養に抗生物質を使用することで、コンタミネーションによる貴重な細胞、試薬、時間・労力の損失を最小限に抑えることができます。無菌状態や技術の維持は、細胞/組織培養を取り扱う研究室ではきわめて重要です。経験豊富な研究者は、細胞培養中に細胞培養試験済みの抗生物質を適切な濃度で使用することを推奨しています。これを実践すると、形態学的または生理学的変化を誘導するコンタミネーションが防止され、お客様の細胞が守られます。コンタミネーションの防止以外にも、特定の抗生物質は研究目的のトランスフェクション細胞/遺伝子組換え細胞を選択し確立するために使用される選択薬としても機能します。

細菌または真菌コンタミネーション

細菌や真菌コンタミネーションは、濃縮培地中での迅速なコロニー形成のため、細胞培養において最も顕著に認められます。培地はコンタミネーション後、数時間から数日以内に濁り、変色(pH変化)します。培地の定期的な顕微鏡観察と抗生物質添加により、培養全体にコンタミネーションが広がることを防ぐことができます(下表参照)。

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マイコプラズマコンタミネーション

マイコプラズマは、走査電子顕微鏡下で糸状または球状の形態で観察される最小の自由生活性原核生物(0.3 µm)です。マイコプラズマコンタミネーションは潜在的であり、対処がきわめて困難です。光学顕微鏡下では検出できないですが、形態学的変化、染色体異常、アミノ酸および核酸代謝異常をもたらします。細胞壁がないため、通常使用される抗生物質に抵抗性を示します。特定の抗生物質は効果がありますが、マイコプラズマに対する最適な薬剤は複数の生物製剤の併用であることが確認されています。

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マイコプラズマコンタミネーションに対する最良の防止策は、定期的にマイコプラズマコンタミネーションについて検査されるECACCの細胞株を使用することです。

ウイルスコンタミネーション

ウイルスは細胞培養において検出が最も難しい物質であり、除去は困難です。しかし、ウイルスは宿主の細胞機構にのみ依存しているため、ウイルスコンタミネーションは自己限定的です。ウイルス感染細胞はラボの作業者に対し健康上の危険をもたらします。BVDV検査済み血清を使用することでウイルスのリスクは大幅に低下します。 

いつ細胞培養に抗生物質を使用すべきか

  • 抗生物質は、ワーキングストックを作成し、かけがえのない細胞の貴重なストックを保護します。再現性の高い結果が重要である場合、適切な抗生物質を至適濃度で培地に添加することが推奨されます。
  • 最初の数週間はコンタミネーションの機会が多いため、初代細胞培養には50~100 I.U./mL濃度のPenicillin-Streptomycin溶液のような抗生物質の使用が推奨されます。 
  • 抗生物質はトレーニング中の新人研究者、粒子状物質、エアロゾルなどの因子から、より一層保護します。
  • 抗生物質は遺伝子組換えにより改変された細胞の選択にも用いられます(選択薬)。PuromycinおよびHygromycin Bは、それぞれPuromycin耐性およびHygromycin耐性遺伝子を発現する細胞を選択し確立するために使用されます。

抗生物質が細胞培養に対して完全に有害であると考えるのは誤りです。正しいアプローチは、お客様の細胞培養実験における至適濃度を使用して、コンタミネーションを防止し、ラボの細胞を保護することです。

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