土壌中のアンモニウムの測定
はじめに
アンモニウム(NH4+)は植物の栄養摂取にとって最も重要な窒素源の一つであり、分解された有機物の無機化により生成されます1。また、アンモニウムは植物の成長にとって本来好ましい窒素源であることが、研究によって確立されています2。世界的な有機食品の需要増加に伴い、農家は堆肥と厩肥の使用に頼っています。既製のアンモニウム肥料には、含まれるカチオンおよび関連化合物の濃度の規定がありますが、堆肥と厩肥の正確なアンモニウム濃度を分析することは重要です。分解の初期段階でアンモニアとして窒素が失われるため、堆肥が成熟するにつれてアンモニウムが自然に減少します3。過剰なアンモニウムが高等植物で毒性を示すことも報告されています4。
本アプリケーションノートでは、カルシウム塩化物溶液で抽出した後の土壌中のアンモニウムの、インドフェノールブルー法を用いた光度測定の詳細を述べます。サンプル抽出後、強アルカリ性溶液中では、アンモニウム窒素はほぼ完全にアンモニアとして存在し、アンモニアは次亜塩素酸イオンと反応してモノクロラミンを生成します。これは次にフェノール系化合物と反応して青色のインドフェノール誘導体を形成します。これを測光法で測定します。
試薬・装置・関連製品
アンモニウムテストキット/試薬
測定には,以下のSpectroquant®テストキットのうち1つが必要です。
- Spectroquant®アンモニウムセルテスト(1.14739)
- Spectroquant®アンモニウムセルテスト(1.14544)*
- Spectroquant®アンモニウムセルテスト(1.14558)
- Spectroquant®アンモニウムセルテスト(1.14559)
- Spectroquant®アンモニウムテスト(1.14739)
- Spectroquant®アンモニウムテスト(1.14752)
- Spectroquant®アンモニウムテスト(1.00683)
*Move 100には適合していません。
装置
測定には,以下のSpectroquant®光度計のうち一つが必要です。
- Spectroquant® VIS Spectrophotometer Prove 100 (173016)
- Spectroquant® UV/VIS Spectrophotometer Prove 300 (173017)
- Spectroquant® UV/VIS Spectrophotometer Prove 600 (173018)
データ転送用ソフトウェア
データを既存のLIMSシステムに転送するためのオプションのSpectroquant® Prove Connect to LIMSソフトウェアパッケージ(Y.11086)
装置アクセサリー
その他の試薬・アクセサリー
実験手順
試薬の準備
塩化カルシウム二水和物3.68 gを水1 Lに溶解し、0.025 mol/L塩化カルシウム溶液を調製します。
分析前処理
- ガラスびんで、粗粒石を除いた自然湿潤サンプル50 gと0.025 mol/L塩化カルシウム溶液100 mLを混合します。
- スパチュラ1杯分の土壌検査用活性炭を加え、蓋をしたびんを振盪機で1時間振盪します(あるいはビーカー内で攪拌)。
- 懸濁液を沈殿させ、折りたたみ式フィルターでろ過します。
- 水分含有量を測定するため、同様なサンプルを一定重量まで105℃で乾燥させます。窒素の形態が急激に変化するため、測定前にサンプルを乾燥させることは推奨できません。
- 分析は非常にすみやかに行ってください。
- サンプルを室温でプラスチックバッグ内で保存すると、短時間で解析値が変化します。
分析
上記のテストキットで測定します。
計算式
アンモニウム含有量(単位:mg/kg NH4+) = 分析値(単位:mg/L NH4+) x 2
*製品1.14544はMove 100には適合していません。
参考文献
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