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Merck

重合開始剤および安定剤に関するFAQ

Dr. S. S. Newaz

Polyorganix Inc. Houston, TX

Material Matters 2006, 1.1, 3.

Q. どのようにして適切な重合開始剤を選択したらよいでしょうか?

ラジカル付加重合反応では、重合開始剤の選択には主にその溶解性と分解温度の2つの要因を考慮します。有機溶媒中で重合反応を行う場合、開始剤はその溶媒に可溶であり、分解温度は溶媒の沸点以下でなくてはなりません。一般に、AIBN(2,2’-azobis(2-methylpropionitrile)、製品番号:768375、分解温度:102~104℃)やBPO(2-(4-biphenyl)-5-phenyloxazole、融点:115~119℃)が、これらの条件を満たします。目的の重合反応が20℃以下で起こる場合は、低温度で使用可能な特別なラジカル開始剤が必要です。分解温度条件を満たす様々なアゾタイプの開始剤を選ぶことができます。

エマルジョン重合反応すなわち水系での重合反応では、K2S2O8(製品番号:216224)などの水溶性開始剤や、有機系の水溶性開始剤(4,4’-azobis(4-cyanovaleric acid)、製品番号:11590、分解温度118~125℃)が適切でしょう。

モノマーの反応性は、必ずしも明らかではなく、それほど単純ではありません。個々のモノマーについては、研究者らの経験と文献値によって判断します。一般に、分子構造における共役の程度が、ラジカル重合反応に必要な最初のラジカルを生成できる目安になると考えられています。通常、より共役結合の多い系がラジカル重合反応を起こしやすい傾向にあります。

保存中に重合反応が起こらないようにするため、ラベルに表示されているように多くのモノマーに安定剤が含まれています。しかし、通常であれば、安定剤を除去する必要はありません。安定剤は一般にppmレベルで含有されていますが、重合反応温度ではラジカル開始剤の作用が、安定剤の効果を打ち消してしまいます。場合によっては、必要な重合反応速度を得るために開始剤を追加することもあります。しかしほとんどの場合は、一度重合反応が開始されれば、特に問題なくその速度は一定に保たれます。もし完全に安定剤を除く必要がある場合には、カラムクロマトグラフィーを使用するとよいでしょう。簡単に使用できる、除去剤が予め充填されたカラム(Aldrich inhibitor removers and prepacked columns、HQおよびMEHQ向け:306312 (充填済みカラム)/311332 (詰め替え用)、TBC向け:306320 (充填済みカラム)/311340 (詰め替え用))を販売中です。

通常は、最終的に使用する前に重合したポリマーを溶媒に溶解させた後、共溶媒を使ってポリマーを沈殿させます。一般に残留した開始剤と安定剤は溶液中にそのまま残り、ポリマーは固体(粉状、ゴム状、または繊維状)として分離します。この工程を目的のポリマーの性質が得られるまで繰り返すとよいでしょう。この処理は低分子量ポリマーの除去にも効果があり、もちろん収量の低下は免れませんが、結果としてより均一な分子量のポリマーが得られます。よく使用される溶媒と共溶媒の組み合わせは、トルエン/ヘキサン、トルエン/メタノール、THF/水などで、低分子成分に対するポリマーの相対的な溶解度によって決定します。

重合開始剤および安定剤製品に関しては下記もご覧ください。

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