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モノマー合成のための連続フロー製造

Yashwant S Kulkarni, Douglas Harris, Bryce P Nelson

眼科デバイス用モノマー製造の新しいアプローチ

高純度モノマーは眼科用製品を製造するための重要な原材料です。  化学不純物、あるいは不純物プロファイルのばらつきは、コンタクトレンズ装用者の安全性と快適さの両方にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。  サプライチェーンをより複雑にしているのが、実験スケールから製造用反応器へスケールアップするのが困難な点です。  また、製品自体が本質的に不安定なことが多く、そのため保管期間も限られています。  このような点から、モノマーやコンタクトレンズの生産設備における無駄のない製造(lean manufacturing)への取り組みを難しくしています。

モノマーの品質向上はコスト面での制約がありますが、週・月単位の定期交換レンズから1日使い捨てレンズに切り替わっていることから、原材料の需要は増え続けると思われます。  コンタクトレンズをより手頃な価格にするためには、製造における経済性を向上させると同時に、材料の純度を高める新たな製造アプローチが必要です。  このイノベーションでは次のようなことが求められます。

  • 1つの製造ラインで複数の製品を生産する柔軟性
  • 不良バッチの可能性を最小化
  • 最適化された歩留まりと純度
  • 数十年にわたる一貫性の確保

モノマー合成の製造の多くは、従来のバッチ式で行われています。  これらの工程では、まず1つの容器に出発物質を投入して混合し、その後加熱/冷却、反応、蒸留、結晶化、分離、乾燥といった一連の操作を行います。  同じ装置を使ってさまざまな化学物質の製造に対応しなければならないため、1回の生産工程が終わる毎に装置を洗浄します。  このような手法は十分に確立されている一方で、コンタクトレンズ業界に特有の要求に応えるために必要な柔軟性や拡張性(スケーラビリティ)、信頼性を、必ずしも提供しているわけではありません。混合不良や加熱・冷却のために反応時間が長くなることに起因するバッチ製造の限界は、不十分な結果どころか、不良バッチにつながる可能性があります。

連続フロー製造(Continuous Flow Manufacturing)は、眼科用高純度モノマー製造のための実用的で堅牢なソリューションを提供します。  我々は、小規模なラボスケールから製造用原材料まで、CFM技術によりグローバルに製造するまでの豊富な経験があります。(海外での事例です。眼科用製品については、日本では試験研究用でのご提供となります。あらかじめご了承ください。)

連続フロー反応器の構成要素

連続フロー製造(CFM:Continuous Flow Manufacturing)では、小型化と反応器の形状をうまく利用して、特定のバッチ法で直面する制限を克服しています。最もシンプルな形では、CFMは小型の反応装置一式を用いて行われ、十分な混合が可能で、温度制御に優れているため、長時間の加熱や冷却が不要です。さらに、反応器の容量が小さい(通常は数ml)場合、反応時間が短く(多くの場合数秒)、副反応も最小限に抑えられます。CFMは、バッチ製造に代わるコスト効率の高い方法であるだけでなく、精密なプロセス制御による優れたリスク軽減を実現し、大規模なバッチ失敗のリスクをほぼ排除します。

CFM反応器は細長いチューブからなるシステムをベースにしており、体積と表面積の比率が有利になるように設計されています。この形状では、通常、細い流路や静的混合などの様々な方法によって、効率的に混合が起こります。反応器を構成する細いチューブは、通常、温度を正確に制御するために各「反応器」の周囲を循環する熱交換流体で囲まれています。

反応器にポンプ、供給混合装置、回収/後処理装置が加わることで、反応装置一式が出来上がります。図1および図2は典型的な有機/ポリマー反応で用いられるシンプルな反応器の例です。

連続フロー反応器の構成例

図1、図2連続フロー反応器の構成例

CFM反応器は、構成部品の材質と加熱/冷却装置を適切に選択することで、小規模(1日最大数キログラム)の製造用に容易にカスタマイズすることができます。シグマ アルドリッチでは、コンタクトレンズ業界のニーズに合わせて設計された製造プロセスを含め、幅広い製造能力を持つキロスケールの合成装置を特別に設計・開発しています(図3および図4)。

CFM反応器

図3、図4CFM反応器

連続フロー法によるモノマー合成の例

塩化アクリロイルは、眼科用などに採用されている多くの直接誘導アクリル系ポリマーの重要なビルディングブロックです。下記の図に示すとおり、塩化アクリロイルはまた、コンタクトレンズ製造に使われるポリマーに最終的に転換されるアクリラートモノマー中間体の出発点でもあります。これらの材料は、いずれもCFMで効率的に製造することができます。従来、これらのモノマーを少量でしか提供していませんでしたが、CFMを使用することで、工業用途向けの規模や純度、価格に関するご要望に合わせた供給が可能になりました。(海外での事例です。眼科用製品については、日本では試験研究用でのご提供となります。あらかじめご了承ください。)

連続フロー法によるモノマー合成の例

CFMによる代表的な反応

  • ポリマー化学
    – 生物医学用途向けモノマー
    – ポリマー合成用試薬(例:RAFT試薬)
  • 製薬および有機化学
    – 医薬中間体(非GMP)
    – 試薬および触媒(例:キラル触媒、フッ素化試薬)
  • 材料科学
    – ナノ粒子合成
  • 特殊反応
    – 危険性の高い化学物質の関わる反応(例:アジド、ジアゾアセテート、シアン化物)
    – 悪臭を伴う反応

CFMに適した反応の特徴

CFMには多くの利点がありますが、すべての化学反応がこれらの改善を享受できるというわけではありません。CFMの恩恵を受ける反応の特徴は以下の通りです。

  • バッチ法では規模が制限される高温または極低温条件を必要とする反応
  • 複数回のプラント運転が必要な大量製造品
  • 不安定種を伴う反応
  • 危険性の高い反応

弊社の連続フロー製造の対応範囲

  • 反応器の材質:ハステロイC-276、316ステンレス鋼、フッ素樹脂(PFAなど)
  • 温度範囲:-80℃から+175℃。+300℃まで拡張可能。
  • 圧力範囲:0~125 psi(0~8 bar)。16 barまで拡張可能。
  • 滞留時間:6秒~10分。特殊な状況下ではさらに長時間も可能。
  • 処理能力:1日当たりグラム単位~150キログラムまで対応。
  • 上流および下流のバッチ工程との接続:最大4000ガロンのバッチ反応器
  • リモートおよび独立式デジタル制御システム

お客様のニーズ合わせた、カスタムCFMを検討いたします。お気軽にご相談ください。(眼科・歯科用材料については、日本では試験研究用でのご提供となります。あらかじめご了承ください。)

試薬製品のスケールアップについて

研究用試薬のカタログ記載品と同様の30万品目以上を、原料用途のニーズに合わせた品質レベル・容量にてお届けします。グローバルの複数製造拠点で、各種化合物のカスタム合成や、医薬中間体、医薬品原薬、電子材料中間体などの受託合成サービスを提供しております。製造施設ではプロセス開発やスケールアップ検討も行い、ファインケミカル分野での製品開発をサポートしています。また、ワールドワイドネットワークにより各種原料を安定供給いたします。

連続フロー製造パンフレットのダウンロード(海外向け英語版)

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