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クロスリンカー選択ガイド

バイオコンジュゲーション研究に最適なクロスリンカーをお探しですか?お客様が最適なものを選べるようにクロスリンカーの種類、反応基、スペーサーアームの長さなどで便利に分類したメルクの詳細な選択ガイドをご覧ください。

選択の概要:

図には、タンパク質が関与する生物学的プロセスが示されています。左側には、赤と紫の2つの星状の形に「タンパク質間相互作用」と表示され、タンパク質が相互作用していることが示されています。その右側には、「クロスリンカー」と書かれた青色の曲がりくねった線があります。その隣のマークは、複数の曲がりくねった線とそれを囲む1本の紫色の矢印が入った紫色の円で、これはバイオコンジュゲーションを表しています。一番右は、2つの星状の形が「架橋タンパク質」と示された青色の曲がりくねった線でつながれています。

クロスリンカーは、相互作用するタンパク質をバイオコンジュゲーションによって架橋タンパク質に変換します。

クロスリンカーとは

ケミカルバイオロジーやバイオコンジュゲーションにおいて、クロスリンカーは、共有結合の形成により複数の分子をつなぐ必要不可欠な化合物です。クロスリンカーは、バイオコンジュゲートの作製、タンパク質間相互作用の研究、バイオマテリアル(生体材料)の開発など、数多くの用途において中心的な役割を果たします。クロスリンカーにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる用途に合わせた特異的機能を持ちます。

クロスリンカー選択参照表

クロスリンカー

反応基

スペーサーアーム長

水溶性

切断性

架橋効率

安定性

毒性/生体適合性

DSS

NHSエステル(アミン)

11.4 Å(剛性)

非切断性

安定、湿度感受性

中程度の毒性

スルホ-SMCC

NHSエステル(アミン)、マレイミド(チオール)

11.6 Å(剛性)

非切断性

生理的条件下で安定、光感受性

低毒性、in vivo適合

EDC

カルボジイミド(カルボキシル/アミン)

長さゼロ

酸性条件下で切断可能

酸性条件下で安定

低毒性、in vivo適合

BS3

NHSエステル(アミン)

11.4 Å(剛性)

非切断性

安定、湿度感受性

中程度の毒性

DTSSP

NHSエステル(アミン)、ジスルフィド(チオール)

12.0 Å(剛性)

還元条件下で切断可能

安定、還元剤で切断

低毒性、in vivo適合

スルホ-NHS-LC-ビオチン

NHSエステル(アミン)

22.4Å(柔軟)

非切断性

安定、湿度感受性

低毒性

BMH

マレイミド(チオール)

16.1Å(柔軟)

非切断性

安定、光感受性

中程度の毒性

DMP

NHSエステル(アミン)

9.2 Å(剛性)

非切断性

安定

中程度の毒性

MBS

NHSエステル(アミン)、マレイミド(チオール)

10.2 Å(剛性)

非切断性

生理的条件下で安定、光感受性

中程度の毒性

PEG化クロスリンカー

NHSエステル(アミン)

可変(PEG長による)

切断性・非切断性の異性体

安定、PEG長に応じてカスタマイズ可能

低毒性、in vivo適合

注記:

  • DSS(スベリン酸ジスクシンイミジル) は、高い反応性を持ちながら毒性は中等度の、よく使用されているホモ二官能性クロスリンカーです。
  • スルホ-SMCC は、高溶解性・低毒性で生体内用途に適している、広く使用されているヘテロ二官能性クロスリンカーです。
  • EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド) は、高い効率と低毒性で知られるゼロ長クロスリンカーです。
  • BS3(スベリン酸ビス[スルホスクシンイミジル]) はDSSに似ていますが、水溶性が高くなっています。
  • DTSSP(3,3'-ジチオビス[スルホスクシンイミジルプロピオン酸]) では、還元条件下で切断性が得られます。
  • スルホ-NHS-LC-ビオチン は、柔軟なスペーサーアームによるビオチン化に使用されます。
  • BMH(ビスマレイミドヘキサン) では、マレイミド基によりチオール反応性に柔軟性が得られます。
  • DMP(ピメルイミド酸ジメチル) は、それほど広く使用されていませんが、特定の用途で効果的です。
  • MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル) は、特定の用途を持つ別のヘテロ二官能性クロスリンカーです。
  • PEG化クロスリンカー は、カスタマイズ可能なスペーサー長を実現し、高い生体適合性を持ちます。

クロスリンカーの仕組み

クロスリンカーは、分子上の特定の官能基と反応することで機能を発揮します。NHSエステルやイソシアン酸などのアミン反応基は、タンパク質やその他の生体分子上の一級アミンと反応します。マレイミドやピリジルジスルフィドなどのスルフヒドリル反応基は、システイン残基のチオール基と反応し、カルボジイミドなどのカルボキシル反応基は、カルボキシル基を活性化してアミンとアミド結合を形成します。

クロスリンカーはどこで使用できますか?

クロスリンカーの用途は幅広く、多種多様です。質量分析やウエスタンブロッティングなどの手法を用いて分析できるようにタンパク質間の過渡的相互作用を安定化させることにより、タンパク質間相互作用の研究で役に立っています。バイオコンジュゲーションにおいて、クロスリンカーは、薬剤、蛍光標識、またはその他の生体分子に対するプローブに付着して、治療薬開発や診断を促進しています。材料科学では、クロスリンカーは、生体組織を模倣するハイドロゲルやその他のバイオマテリアル中のネットワークの形成に役立ちます。さらに、酵素や抗体などの生体分子の固体担体上への固定を可能にして、さまざまなアッセイにおける安定性と再利用性を高めます。

ホモ二官能性クロスリンカーとヘテロ二官能性クロスリンカーの比較

両端に同一の反応基を持つホモ二官能性クロスリンカーは、同じ官能基を持つ2つのタンパク質の結合など、類似した分子をつなげるために使用されます。この種類の例は、2つのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基を持つスベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)です。対照的に、ヘテロ二官能性クロスリンカーは、各末端に異なる反応基を持つため、タンパク質と低分子のようにそれぞれが異なる官能基と反応する多様な分子を結合させるのに最適です。一方の末端にNHSエステル、もう一方にマレイミド基を持つスルホ-SMCCは、この種類の例です。

クロスリンカーを選択する際の特別な考慮事項

適切なクロスリンカーの選択では、いくつかの重要な考慮すべきことがあります。クロスリンカーは、目的の分子上の特定の官能基をターゲットにしなければならないため、特異性は極めて重要です。クロスリンカーのスペーサーアームの長さは、結合した分子間の距離を左右するため、コンジュゲートの機能や安定性に影響を及ぼします。水溶性クロスリンカーは、水環境との適合性を確保するために、生物学的用途で好まれます。さらに、特定の条件下で切断可能になるように設計され、結合した分子の放出を制御できるクロスリンカーもあります。

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