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細胞および組織培養用血清に関するFAQ

血清製品の生物学、品質、規制に関する情報

なぜ細胞や組織の培養に血清が必要なのですか?

血清は、栄養、ホルモン、成長/付着因子の混合物を提供する目的で、2 ~ 10% の濃度で培地にサプリメントとして添加されます。また、pH変化、タンパク質分解活性、重金属やエンドトキシンの存在など、細胞増殖へのさまざまな妨害や毒性作用に対し、血清は細胞培養系のバッファーとして機能します。

血清は凍結状態で加工施設に輸送され、溶解後に細菌、ウイルス、エンドトキシンおよびヘモグロビン含量について試験されます。試験に合格した高品質の血清を数層のメンブレンフィルターでろ過します。最終ろ過には、孔径0.1 μmのフィルターを使用し、無菌状態で行っています。ろ過した血清は、無菌状態を維持しながら滅菌ボトルに分注し、すぐに−20℃で凍結して検査を行い、すべてのロットが品質管理基準値またはそれ以上を達成していることを確認しています。各ロットの分析証明書はご要望に応じて入手可能です。

血清は使用時まで凍結保存した状態が最も安定なため、推奨保管温度は−5℃~−20℃です。血清を霜取り機能のあるフリーザーに保管することは 推奨されません。霜取り機能による温度変化がボトルの割れにつながり、製品の汚染や劣化の原因となる可能性があるためです。

品質低下を防ぐため、血清は2℃~8℃で一晩かけて解凍します。室温で解凍してもよいですが、成分を懸濁するため、定期的に攪拌しながら融解してください。解凍した血清は十分に混和してから、細胞培地に添加してください。

凍結融解を繰り返すと血清の品質に大きく影響する可能性があるため、解凍後の血清を1回使用量に小分けし、分注した血清を−20℃で保存することを推奨します。血清を2℃~8℃で保存する場合は、2~4週間以内にご使用ください。

注記37℃を超える温度では、栄養成分が劣化し血清の性能が損なわれる可能性があります。  

血清はドライアイス入りの梱包で凍結状態でお届けします。しかし、遅配により一部が解凍した血清でも、使用することは可能です。血清を完全に解凍してから、1回使用量に小分けすれば、保存や後日の使用が可能です。

血清製品の使用期限は、通常製造日から5年です。

通常の室内灯やラボ照明の下で血清を標準的な方法で扱えば、光による影響はほぼありません。しかし、血清には光に敏感な成分が含まれています。このため、血清を強い光や短波長の光に曝さないようにしてください。

血清中に沈殿物が見られるのにはさまざまな理由があります。

  • 凍結融解を繰り返すと、血清中のリポタンパク質が変性し、濁りの原因になります。1回使用量に小分けして保存することで、濁りの発生を最小限に抑えることができます。
  • 血清を低温下で迅速に処理することにより増殖性が保たれますが、これにより、血清中のフィブリノーゲンが残留する可能性があり、解凍時にフィブリンに変換される場合があります。血清中の余剰なフィブリンは綿状の物質として視認でき、400 xgで遠心分離することで取り除くことが可能です。  血清をろ過して凝集物を除去することは、フィルターが目詰まりしたり、フィルター上に目的タンパク質が意図せず保持されてしまう可能性があるため、推奨されません。

無菌操作を厳密に守れば、血清添加培地を2℃~8℃で最長6週間保存できます。濁りが生じた場合は保存期間に関係なく、各施設のバイオセーフティープロトコルにしたがって廃棄してください。

私たちの全血清製品と同様、FBSには、微生物汚染物質が混入していないか入念に試験を行っています。  ご要望に応じて、各ロットの試験成績書(CoA、CofA)を利用できます。

はい。私たちの血清はすべて、BSE非感染国またはBSE低リスク国が原産国です。世界動物保健機関(OIE) は、OIEガイドラインおよびOIE基準への各国の遵守状況をモニタリングし、動物疾病にグローバルレベルで取り組んでいます。

γ線照射処理血清は、ウイルスやその他の外来性微生物(マイコプラズマなど)を不活化させるため、コバルト60線源を用いて25~35 kGyの線量でガンマ線照射されています。γ線照射処理が、血清の生理化学的特性や細胞培養性能を損なうことはありません。

哺乳類の血清に由来する補体タンパク質は細胞溶解を仲介し、平滑筋を収縮させ、リンパ球細胞や骨髄細胞を活性化します。  非働化により、血清中の補体が不活性化します。  したがって、非働化は免疫学的アプリケーションや、胚性幹細胞(ESC)、昆虫細胞および平滑筋細胞の培養に推奨されています。

細胞・組織増殖に必要な血清成分である目的タンパク質の変性を防ぐために、非働化のプロセスは慎重に管理しなければなりません。

血清を56℃で30分間加熱処理すると、非働化できます。

血清は生物学的原料から抽出した液体であるため、ロット間で組成にバラツキが出る可能性があります。使用時のバラツキを最小化するため、ロットごとに厳格な品質検査を実施しており 、お客様がラボでロットチェックを行えるようサンプルを提供しています。お客様がロットチェックを実施している期間中、試験バッチの製品を取り置きします。

血清の色はヘモグロビンの濃度によって異なります。色のバラツキは血清の性能に影響しません。

血清の原産国(起源国とも言います)は、未精製の血液を採取した国を指します。原産国を、血清の分離、ろ過、またはその他の加工が行われた国と混同しないでください。両者は異なる国の場合があります。血清メーカーが提供する原産地証明書に、血清の原産国および加工に関する情報が明記されています。

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