Biogelx™インクは自己組織化する非動物由来ペプチド製品であり、二次元および三次元細胞培養のアプリケーションにおいて、世界中で急速に評価が高まっています。この材料は、幅広い種類の組織が独自に持つ物理的特性を模すことができる非常に優れた能力を持っており、生物医学および製薬分野での応用に向けた複雑な3Dモデルを開発する新しい機会を提供します。
Biogelx™インクは凍結乾燥されたペプチド粉末として提供され、調製液と細胞培養液で再水和して使用します。(Pic©Creatific)
BIOGELX™インク技術
Biogelx™インクは簡単に調合でき、時間を節約できます。(Pic©Creatific)
印刷により作製した組織の例。(Pic©Creatific)
Biogelx™インク材料は、独自の自己組織化ペプチドハイドロゲル技術を使用していますが、印刷適性に重点を置いて開発されています。Biogelx™合成ハイドロゲルと同様に、このバイオインクは細胞外マトリックスを模倣したナノファイバーネットワークを形成し、細胞の成長、シグナル伝達、増殖をサポートすることができます。さらに、押出し法での印刷によるバイオプリントに最適なレオロジー特性をもつよう設計されています。従って、Biogelx™インクは、細胞生存率と印刷適性を両立できます。このバイオインク材料は、目的の用途に合わせて調整できるため、細胞関連の応用、毒物学、薬物スクリーニング、再生医療など、さまざまな分野で大きな可能性を持っています。
製品の主な特徴
- 再現性:Biogelx™バイオインクはISO 9001:2015認証の研究所で化学的に製造されており、したがって、動物由来ではありません。これにより、バッチ間の再現性が確保され、安定した印刷が可能となります。
- 取り扱いが容易:細胞培養液の添加でゲル化が始まります。細胞の状態に害を及ぼすような、(極端な)温度、pH調整、UV硬化、反応性架橋剤の添加のいずれも必要ありません。
- 調整可能な特性:ヒドロゲル1,2と同様に、バイオインク(Biogelx™-INK-S, Biogelx™-INK-RGD, Biogelx™-INK-GFOGER)においても、特定のタイプの細胞に合わせて生体模倣機能を調整することができます。Biogelx™インクシリーズは、押出し法での印刷に最適化されていますが、別の印刷法に適用するために低粘度の製剤を調製することも可能です。
- 印刷可能:Biogelx™インクは、自己支持構造を室温で印刷することが可能で、その後過剰な細胞培養液を加えてさらに架橋させ、最終的なゲルを形成することができます。このインクは剪断減粘性(shear-thinning)をもつため、印刷プロセス中に細胞が受ける剪断応力を軽減することができます。
- 生体適合性:天然組織の細胞外マトリックスを模したナノ構造を形成するように自己組織化する短鎖ペプチドから成ります1,2。Biogelx™インク製品群には、さまざまな生体模倣ペプチド配列を組み込んだ製剤があり、各種細胞に対する材料の生体適合性を向上させています。
BIOGELX™インクの取り扱いと使用について
Biogelx™ペプチドバイオインクは、非常に扱いやすい製品で、凍結乾燥ペプチド粉末と調製液として提供されます。これらを細胞培養液と組み合わせることで、最終的なバイオインク製剤を調製することができます。本製品は温和な温度(4~37℃)と中性のpHで調製でき、室温で印刷します。この際、細胞に悪影響を及ぼす可能性のあるpH調整やUV硬化、反応性架橋剤の添加のいずれも必要としません。この使いやすさのため、Biogelx™バイオインクは適切に保管することで粉末として1年間安定で、廃棄物を出さないというメリットもあります。
参考文献
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