図1.
はじめに
芳香族および芳香族ヘテロ環化合物の合成は、化学工業の中核となるテーマです。新しい分子構造への要求がますます増加する中で、どの研究プロジェクトにおいてもコストの削減や開発のスピードアップが求められており、芳香族(ヘテロ環)骨格を多様化する迅速な手法が必要とされています。そこで、湿気や大気に影響されない簡便な操作の反応を目指し、(ヘテロ)芳香族骨格上にさまざまな官能基を付加できる、一連の試薬が設計されました。その代表例であるDiversinates™は、あらかじめ活性基を導入しなくても芳香族ヘテロ環上のC-H結合を官能基化できるため、研究開発のスピードアップに貢献します。
利点
金属触媒によるクロスカップリング反応の有用性は誰もが認めるものですが、出発物質をあらかじめ官能基化(多くの場合ハロゲン化)する必要があります。金属触媒によるC-H結合活性化は近年進展の著しい研究領域ですが、ヘテロアレーン骨格の(フルオロ)アルキル化を可能にするC-H活性化は依然として課題であり続けています。Baran Diversinates™は、明白な反応部位を持たない(ヘテロ)アレーン骨格とであっても反応が進行します。必要なのは芳香族ヘテロ環上にC-H結合が存在することだけです。これらの強力な試薬は基質本来の反応性を利用し、湿気や大気の除去を必要としない、非常に実用的な反応条件下で実施することが可能です。
代表的応用例
図2.代表的応用例
関連製品
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参考文献
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