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自己抗体のマルチプレックス解析

自己抗体を検出することは、サイトカイン研究、感染症研究、自己免疫疾患研究、がん研究など、さまざまな研究分野において非常に重要です。MILLIPLEX®マルチプレックスアッセイの自己抗体マルチプレックス解析により、複数のアナライトを一度に検出し、完全な自己抗体プロファイルを作成することで、これらの研究を促進します。

自己抗体とは?

自己抗体とは、自身が産生する物質/抗原に反応する抗体のことです。これは、体が自身の抗原と外部から侵入してきた抗原を区別できないことで起こります。この自己抗体により炎症が起こり、組織や臓器が破壊されます。多くは自己免疫疾患と関連しますが、他の病気でも見られることがあります。

自己抗体の例:

  • サイトカイン自己抗体
  • 自己免疫性自己抗体
  • がん自己抗体

自己抗体のマルチプレックス解析

自己抗体のマルチプレックス解析は、1つのサンプル中の複数の自己抗体を測定することで、研究者の実験の時間を節約します。Luminex®プラットフォームを使用した MILLIPLEX® マルチプレックスパネルのような高品質のマルチプレックスでは、研究者はさまざまな自己抗体を解析することができ、また解析するアナライトを柔軟に選択することができます。 図1は、これらのアッセイで使用される手法を示しています。

MILLIPLEX®自己抗体キットは、血清および血漿サンプル中の自己抗体の定性アッセイです。各キットには、選択した抗原結合ビーズ、4種類のアッセイコントロールビーズ、検出用のPE-Igコンジュゲートが含まれています。

MILLIPLEX®自己抗体パネルアッセイ法の説明。Luminex®磁気ビーズ、キャプチャ抗原、IgG自己抗体(アナライト)、phycoerythrin-anti-human IgG conjugateによるキャプチャ抗原法を示す。


図1.
MILLIPLEX®自己抗体パネルアッセイ。キャプチャ抗原法を示す。

サイトカイン自己抗体の測定

サイトカイン自己抗体は、健常者およびさまざまな感染症、後天性免疫不全症、自己免疫疾患などの患者サンプルで頻繁に生じ、存在することから、この抗体を測定することは疾患研究に役立つと考えられます。微生物から身を守るサイトカインは、サイトカイン自己抗体のターゲットとなることで、生命を脅かす感染症を引き起こす可能性があります。サイトカイン自己抗体の測定は、疾患のモニタリングや治療の有効性の研究に役立つと考えられます。

サイトカイン自己抗体のマルチプレックス解析

サイトカイン自己抗体のマルチプレックス解析により、1つのサンプル中のより多くのバイオマーカーを測定することができます。MILLIPLEX®Human Cytokine Autoantibody Panelには、血清または血漿サンプル中の15種類の自己抗体を同時に検出するための抗原結合ビーズが含まれています。4つのアッセイコントロールビーズもキットに含まれており、実験に応じて測定したいサイトカイン自己抗体を選択することができます。図2に、このパネルを使用した、自己免疫疾患、敗血症および健常者のサンプルのデータ例を示します。

抗TNFα、抗IL-8、抗IL-18、抗IL-15の解析データを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Cytokine Autoantibody Panel (カタログ番号HCYTAAB-17K)を用いて、全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患(n=19)、敗血症(n=17)、健常者(n=9)の血清サンプル(100倍希釈)におけるサイトカイン自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。4つのアナライトのデータを示す。
抗TNFα、抗IL-8、抗IL-18、抗IL-15の解析データを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Cytokine Autoantibody Panel (カタログ番号HCYTAAB-17K)を用いて、全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患(n=19)、敗血症(n=17)、健常者(n=9)の血清サンプル(100倍希釈)におけるサイトカイン自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。4つのアナライトのデータを示す。

図2.製品番号HCYTAAB-17Kを用いて、全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患(n=19)、敗血症(n=17)、健常者(n=9)の血清サンプル(100倍希釈)におけるサイトカイン自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。4つのアナライトのデータを示す。


自己免疫性自己抗体解析

自己抗体の形成は、様々な自己免疫疾患の主要な発症要因です。アポトーシスの異常とそれに続く細胞残屑の除去不良により、自己抗原が露出し、自己抗体が生成されます。自己抗体の存在は、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性硬化症、多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎、およびこれらの疾患のさまざまなオーバーラップ症候群を含む多様な自己免疫疾患に関して、疾患状態、予後、および臨床との関連性を示すことがあります。表1に自己免疫性自己抗体と疾患との関連性を示します。


表1.
自己免疫性自己抗体とその疾患との関連性。略称:MCTD-混合性結合組織病、SCLE-亜急性皮膚エリテマトーデス、LE-エリテマトーデス、CNS-中枢神経系、CREST-全身性強皮症(石灰沈着症、レイノー現象、食道の機能障害、皮膚硬化、毛細血管拡張症を認めるもの)。

自己免疫性自己抗体マルチプレックス解析

MILLIPLEX®Human Autoimmune Autoantibody Panelは、20の抗原に対する抗体を血清または血漿サンプル中から検出します。これらの自己抗体には以下のものがあります。

  • β2-Glycoprotein
  • C1q
  • CENP-A (Centromere Protein A)
  • CENP-B (Centromere Protein B)
  • Jo-1
  • Ku
  • Mi-2
  • Myeloperoxidase (MPO)
  • PCNA (Proliferating Cell Nuclear Antigen A)
  • PL-12 (Alanyl-tRNA synthetase)
  • PM/Scl 100
  • Proteinase 3
  • Ribosomal P
  • RNP (Ribonucleoprotein)
  • RNP/Smith (RNP/Sm)
  • Scl-70
  • Smith (Sm)
  • SSA/Ro52 (Sjögren's Syndrome-related antigen A/Ro52 kDa)
  • SSA/Ro60 (Sjögren's Syndrome-related antigen A/Ro60 kDa)
  • SSB/La (Sjögren's Syndrome-related antigen B/La)

図3は、本パネルを用いた疾患サンプルと健常サンプルの比較です。

自己免疫性自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Autoimmune Autoantibody Panel(カタログ番号HAIAB-10K)を用いて、全身性エリテマトーデス(n=10)、多発血管炎性肉芽腫症(n=7)、多発性筋炎(n=2)の疾患サンプル(n=19)と、健常サンプル(n=10)のMFI値(中央蛍光強度)を測定した。本パネルに含まれる20アナライト中14アナライトにおいて、疾患サンプルで非常に高い値を示した。

図3.製品番号HAIAB-10Kを用いて、全身性エリテマトーデス(n=10)、多発血管炎性肉芽腫症(n=7)、多発性筋炎(n=2)の疾患サンプル(n=19)と、健常サンプル(n=10)のMFI値(中央蛍光強度)を測定した。本パネルに含まれる20アナライト中14アナライトにおいて、疾患サンプルで非常に高い値を示した。

図4は、自己抗体のMFI値を臨床検査データと比較したもので、本パネルは検査センターで測定されたものと同様の傾向を示していることがわかります。

MILLIPLEX®自己免疫性自己抗体解析のMFIデータを検査センターの結果と関連付けたグラフ。SLE患者8名の6つの自己抗体(SSA/Ro60、SSA/Ro52、SSB/La、RNP、Sm、Scl-70)について臨床検査データを入手した。臨床検査で陽性のSLE患者は、自己免疫性自己抗体パネルでも高いMFI値を示した。同じ臨床検査で陰性のSLE患者は、低いMFI値を示した。

図4.SLE患者8名の6つの自己抗体(SSA/Ro60、SSA/Ro52、SSB/La、RNP、Sm、Scl-70)について臨床検査データを入手した。臨床検査で陽性のSLE患者は、自己免疫性自己抗体パネルでも高いMFI値を示した。同じ臨床検査で陰性のSLE患者は、低いMFI値を示した。

図5は、本パネルを用いた標準血清の解析結果です。

自己免疫性自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Autoimmune Autoantibody Panelの10種類の自己抗体の評価に標準血清を使用した。コントロールは、強く反応すると予想される自己抗体について高いMFI値を示した。
自己免疫性自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Autoimmune Autoantibody Panelの10種類の自己抗体の評価に標準血清を使用した。コントロールは、強く反応すると予想される自己抗体について高いMFI値を示した。
自己免疫性自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Autoimmune Autoantibody Panelの10種類の自己抗体の評価に標準血清を使用した。コントロールは、強く反応すると予想される自己抗体について高いMFI値を示した。

図5.MILLIPLEX®Human Autoimmune Autoantibody Panelの10種類の自己抗体の評価に標準血清を使用した。コントロールは、強く反応すると予想される自己抗体について高いMFI値を示した。

これらの結果より、マルチプレックス技術を使って複数の自己抗体を測定することで、さまざまな自己免疫疾患サンプルの広範な自己抗体プロファイルが可能になることが示されました。


がん自己抗体の検出

腫瘍関連抗原に対するがん自己抗体は、がんのバイオマーカーとして、また、発がんの早期発見や予後の指標となる可能性があるとして研究が進められています。がんの早期発見に必要な、正確で信頼性が高く、かつ安価なバイオマーカー検査を見つけるための研究が行われています。

がん自己抗体マルチプレックス解析

MILLIPLEX®Human Cancer Autoantibody Panelは、血清または血漿サンプル中の15種類の自己抗体を同時に検出するためのがん抗原結合ビーズからなります。実験に必要ながん自己抗体を選択することができます。図6に、本パネルを用いたがんサンプルと健常サンプルの比較を示します。

がん自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Cancer Autoantibody Panel (カタログ番号HCABMAG-13K)を用いて、がん(乳がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がん)(n=78)および健常コントロール(n=18)の血清サンプル(1:100希釈)中のがん自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。
がん自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Cancer Autoantibody Panel (カタログ番号HCABMAG-13K)を用いて、がん(乳がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がん)(n=78)および健常コントロール(n=18)の血清サンプル(1:100希釈)中のがん自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。
がん自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Cancer Autoantibody Panel (カタログ番号HCABMAG-13K)を用いて、がん(乳がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がん)(n=78)および健常コントロール(n=18)の血清サンプル(100倍希釈)中のがん自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。
がん自己抗体解析のデータを示すグラフ。MILLIPLEX® Human Cancer Autoantibody Panel (カタログ番号HCABMAG-13K)を用いて、がん(乳がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がん)(n=78)および健常コントロール(n=18)の血清サンプル(100倍希釈)中のがん自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。

図6.製品番号HCABMAG-13Kを用いて、がん(乳がん、大腸がん、卵巣がん、肺がん、前立腺がん)(n=78)および健常コントロール(n=18)の血清サンプル(100倍希釈)中のがん自己抗体バイオマーカーのMFI値(中央蛍光強度)を測定した。

図7は、連続希釈した血清がん自己抗体サンプルの反応性を示しています。

連続希釈した血清サンプルのがん自己抗体反応性を示すグラフ。MILLIPLEX®がん自己抗体マルチプレックスアッセイでは、血清は100倍希釈で検査するため、必要になるヒト血清サンプルは5 µL未満。ここでは15種類のアナライトのうち12種類を示す。

図7.がん自己抗体マルチプレックスアッセイでは、血清は100倍希釈で検査するため、必要になるヒト血清サンプルは5 µL未満。ここでは15種類のアナライトのうち12種類を示す。

このヒトがん自己抗体マルチプレックスアッセイは、単独または他のMILLIPLEX®Cancer Circulating Biomarker Panelと組み合わせて、がんの早期発見の研究に有用なバイオマーカースクリーニングツールとして使用することができます。


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Luminex® xMAP®テクノロジーを使用したヒト自己抗体MILLIPLEX®キットをご覧ください。各パネルの測定したいアナライトを選択できます。

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