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ホームLuminex®用MILLIPLEX®マルチプレックスアッセイ低レベルのサイトカインの384ウェルと96ウェルのマルチプレックス解析の比較

低レベルのサイトカインのマルチプレックス解析:High Sensitivity T Cell Panelの384ウェルと96ウェルの比較

慢性的な低レベルの炎症は、生命を脅かす疾患に関与している場合があります。高感度マルチプレックスパネルにより、低レベルのサイトカインを検出し、一度に複数のサイトカインを検討することで、このようなプロセスを深く理解することができます。MILLIPLEX® Human High Sensitivity T Cell Panelの384ウェルアッセイと96ウェルアッセイの性能の比較について説明します。

サイトカインと炎症との関連

サイトカインは、細胞シグナル伝達に重要な免疫調節ポリペプチドであり、適応免疫応答と自然免疫応答において主要な役割を果たしています。サイトカインはその由来や機能によって分類され、インターロイキン(T細胞間のメディエーター)、ケモカイン(T細胞遊走に関与)、リンホカイン(活性化Tヘルパー(Th)細胞により産生)、およびマイオカイン(筋細胞により産生)などがあります。サイトカインは、免疫応答の認識、活性化またはエフェクターフェーズで作用し、T細胞とB細胞、骨髄系細胞の分化と機能活性を調節します。

サイトカインは、健常時および疾患時の両方において、炎症、免疫細胞分化、および免疫細胞活性化の重要なメディエーターです。また、低レベルの慢性炎症であっても、多くの臨床疾患および無症候性疾患に関与していることがよく知られています。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、低レベルの慢性炎症は、心血管疾患、脳卒中、アルツハイマー病、糖尿病、およびがんなどの米国における主要な死因に関与しています1

したがって、生命を脅かす疾患に直接関与する炎症性プロセスと、その炎症を引き起こす免疫系およびその複雑な相互作用を深く理解するための、サイトカインに関連する研究は非常に重要です。これらの研究において、低レベルのサイトカインを高い信頼性で検出し、複数のサイトカインを同時に測定できることにより、より深い理解が得られます。

高感度T細胞MILLIPLEX®マルチプレックスパネル

Luminex®xMAP®テクノロジーに基づき、同一のアナライトを解析するMILLIPLEX®アッセイが、384ウェルと96ウェルの2つのフォーマットで用意されています。MILLIPLEX®384-well Human High Sensitivity T Cell Panel(カタログ番号:HSTC384-28K)と96ウェルのMILLIPLEX® Human High Sensitivity T Cell Panel(カタログ番号:HSTCMAG-28SK)は、いずれもTh1、Th2、Th17細胞に重要なサイトカインを同時に検出するための21-plexのマルチプレックスアッセイキットです。これらのパネルはいずれもカスタマイズ可能で、研究ニーズに合わせてパネル内のアナライトを選ぶことができます。加えて、これらのパネルはともに、プレミックスの21-plexキットとしても販売されています。96ウェルのキットは、13-plexのプレミックスキットも販売されています。

384ウェルおよび96ウェルキットプロトコルの比較

384ウェルおよび96ウェルキットのプロトコルの比較を表1に示します。全体のワークフローにはわずかな違いがあります。主に384ウェルフォーマットに起因するもの(例えば、FLEXMAP 3DまたはxMAP®INTELLIFLEXシステムが必要で、BioTek ®MultiFlo™ FX Automated Washerなどのプレートウォッシャーが推奨される)です。384ウェルプレートウォッシャーがあれば最善の結果が得られます。詳細については、キットプロトコルをご覧ください。

血清サンプルの場合は、血液を30分間凝固させてから、1000 xgで10分間遠心分離しました。血清を回収し、ただちにアッセイするか、-20℃で保存しました。血漿サンプルの場合は、EDTA抗凝固薬を使用し、採血後30分以内に1000 xgで遠心分離しました。血漿を回収し、ただちにアッセイするか、-20℃で保存しました。凍結したサンプルは、使用前に完全に融解し、ボルテックスし、遠心分離して不溶物を除去しました。未希釈のサンプルをアッセイプレートに直接添加しました。サンプルはBioIVT社(ニューヨーク州、ウェストベリー)から入手しました。

表1.MILLIPLEX®プロトコル(384ウェルと96ウェル)の比較
QC = クオリティーコントロール、RT = 室温、SAPE = streptavidin-phycoerythrin

定量マルチプレックス解析結果

すべてのキットの開発、検証、および品質管理において、適切な標準曲線レンジ、交差反応性、回収率、精度、感度などに関する、厳しい性能試験を行っています。以下に示すデータは、384ウェルキットが、一般的な96ウェルキットと同等、一部は96ウェルキットよりも優れていることを示しています。

標準曲線

MILLIPLEX® Human High Sensitivity T Cell Panelの384ウェルキットおよび96ウェルキットの標準曲線をそれぞれ図1aおよび図1bに示します。両方のアッセイにおいて、各アナライトの標準曲線レンジ(pg/mL)は同じで、広い直線レンジを示しています。

384ウェルキットの標準曲線

図1a.384ウェルキットの標準曲線

MILLIPLEX<sup>®</sup> Human High Sensitivity T Cell Panelの96ウェルキットの標準曲線を示すグラフ。

図1b.96ウェルキットの標準曲線

個々のアナライトの標準曲線を並べて検討するため、図2では、384ウェルキットと96ウェルキットの一部のアナライトを同じグラフにプロットしています。

MILLIPLEX<sup>®</sup> Human High Sensitivity T Cell Panelの384ウェルキットと96ウェルキットの個々のアナライトの標準曲線(GM-CSF、IL-12(p70)、IL-8、TNFα)を示すグラフ

図2.一部の個々のアナライトの標準曲線の比較(384ウェルと96ウェル)

交差反応性

アッセイ内のアナライトの交差反応性は、個々のスタンダードを用いて試験しました。それぞれのスタンダードを、マルチプレックスビーズおよび検出抗体で試験しました。すべてのスタンダードは、他のアッセイとの交差反応性が5%未満でした。384ウェルキットの交差反応性データは、96ウェルキットと同等でした(データ非掲載)。

アッセイ確度・回収率

アッセイ確度は、Serum Matrixに添加した既知量のスタンダードを測定したときのパーセンテージとして評価しました。すべてのアッセイで、回収率は79%~108%でした。表2に詳細を示したとおり、384ウェルキットのアッセイ確度は、96ウェルキットと同等でした。

表2.Serum Matrix中に低、中、高濃度で添加したスタンダードの平均回収率。384ウェルアッセイ(n=3)、96ウェルアッセイ(n=4)。

精度

アッセイ内(Intra-assay)精度(% CV)は、スタンダードの8個のDuplicateのデータを検討したところ、すべてのアナライトについて10%以下でした。アッセイ間(Inter-assay)精度(% CV)は、11のプレートのそれぞれのスタンダードのDuplicateのデータを検討したところ、すべてのアナライトについて25%以下でした。384ウェルキットのアッセイ間(Inter-assay)およびアッセイ内(Intra-assay)精度は、96ウェルキットと同等でした(表3)。

表3.384ウェルキットおよび96ウェルキットのアッセイ間(Inter-assay)およびアッセイ内(Intra-assay)精度

アッセイ感度の比較 – 384ウェルキットと96ウェルキット

最小検出濃度(min. DC)+2SD(表4)に基づくと、ほとんどのアッセイの感度は1 pg/mL未満でした。標準曲線は、パネル内のすべてのアナライトにおいて幅広い直線レンジを示しました(図1aおよび1b)。

表4.384ウェルキット(n=12)と96ウェルキット(n=7)の最小検出濃度(min. DC)+2SD(pg/mL)

サンプル検出

最初のサンプル試験で、384ウェルキットと96ウェルキットのサンプル検出率を比較しました。健常者血清8サンプルと健常者血漿8サンプルの合計16サンプルでアッセイの検出感度限界を試験しました。低レベルの炎症は、多くの臨床疾患および無症候性疾患と関連していますが、健常者の低レベルのサイトカインを検出できるアッセイを見つけることは困難です。両キットを使って、健常者の血清と血漿に含まれる低レベルのサイトカインを、どのくらい検出できるかを評価しました。

両キットとも、同様の頻度でアナライトを検出できました。表5に、検出可能だったサンプル数(アナライトごと)を示し、表6に、384ウェルキットと96ウェルキットで検出できたサンプルの割合を示します。

表5.384ウェルキットと96ウェルキットのサンプル検出可能性の比較(n=16健常コントロール)
表6.384ウェルキットと96ウェルキットの比較。サンプル検出の総数(n=16健常コントロール)および検出可能だったサンプルの割合

サンプル相関については、図3に示すように、384ウェルキットと96ウェルキットで高いサンプル相関を示します。

MILLIPLEX<sup>®</sup> Human High Sensitivity T Cell Panelの384ウェルキットと96ウェルキットのアナライト(IL-10、TNFα、IL-6、MIP-1α、IL-1β、ITAC)ごとのサンプル相関を示すグラフ(n=16血清および血漿サンプル)

図3.384ウェルキットと96ウェルキットのアナライトごとのサンプル相関(n=16血清および血漿サンプル)

384ウェルのQuadrantの性能

384ウェルプレートの4つのQuadrantで、特定のアナライトについて得られたスタンダード値を検討しました。低濃度および高濃度のコントロール(クオリティーコントロール1および2、QC1およびQC2)で、一貫した値が認められました(図4)。

MILLIPLEX<sup>®</sup> Human High Sensitivity T Cell Panel 384ウェルキットの4つのQuadrantの、アナライト(IFNƴ、IL-8、IL-6、TNFα)のコントロール値を示すグラフ。

図4.384ウェルキットの4つのQuadrantのアナライトのコントロール値

384ウェルキットの利点

低レベルの慢性炎症は、多くの臨床および無症候性疾患に関与しています。したがって、低レベルのサイトカイン発現を調べることは、免疫系および免疫細胞を介した炎症プロセスを深く理解するために重要です。MILLIPLEX®384-well Human High Sensitivity T Cell Panelは、優れた性能の検証済みアッセイです。Duplicateで行うと、標準曲線とクオリティーコントロールに加えて最大38サンプルの96ウェルキットと比較して、最大182サンプルまでハイスループットが可能になります。

このキットでは、低レベルのサイトカイン発現を検討できるだけでなく、複数のサイトカインを同時に定量できます。詳細な試験から、384ウェルキットは、96ウェルキットと同等の結果が得られることが確認されています。FLEXMAP 3DまたはxMAP®INTELLIFLEXシステムとMILLIPLEX ®384ウェルキットを使用して、1日あたり約17,000データポイントまでスループットを向上させることができます。

関連製品

384ウェルおよび96ウェルのMILLIPLEX® Human High Sensitivity T Cell Panelのオプションをご紹介します。

研究目的での使用に限定されます。診断目的では使用しないでください。

参考文献

1.
2019. Leading Causes of Death.. [Internet]. Centers for Disease Control and Prevention.: Available from: https://www.cdc.gov/nchs/fastats/deaths.htm
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