Amicon^™ Ultra遠心式フィルターを用いた尿の濃縮

尿中の特定タンパク質の正確な測定は疾患の診断と管理のために重要です。しかし、尿タンパク質の濃度は、臨床検査の検出限界を下回ることがよくあります。Amicon^™ Ultra-4 mL 10 kDa MWCOデバイスは、臨床検査の分析前に尿サンプルを濃縮するために使用できます。

方法

Amicon^™ Ultra-4 mL 10 kDa MWCOフィルターを用いた尿サンプル中の遊離免疫グロブリン軽鎖（Bence-Jonesタンパク質）の濃縮

1. 24時間畜尿検体中の総タンパク質量を測定します。
2. Amicon^™ Ultra-4mLデバイスに4 mLの尿を入れます。
3. （約25～50 μLの濃縮サンプルが得られるまで）3400 x gで、30～45分間遠心分離します。これは、最初のサンプル濃度の160倍に相当します。
4. フィルターユニットの底にピペットチップを挿入して、濃縮サンプルを抜き取ります。
5. 濃縮物に対してアガロースゲル電気泳動を行い、軽鎖の定量と他のタンパク質の同定を行います。尿中の総成分数について軽鎖の割合を求めます。軽鎖の割合と24時間の総タンパク質濃度の積を算出します（24時間量当たりのg数）。
6. 濃縮物に対して免疫固定電気泳動を行い、軽鎖を同定します。

Centricon^®（C）およびAmicon™ Ultra（A）遠心式濃縮デバイスを使用して濃縮した尿サンプル中の遊離免疫グロブリン軽鎖（Bence-Jonesタンパク質）の電気泳動分解の結果。各レーンの約25 kDaで認められる暗色のバンドが軽鎖タンパク質に相当。

補足

1. 免疫固定電気泳動法によって、正常な異種免疫グロブリンが尿濃縮物で認められることもあります。この「はしご状パターン」は、微小不均一の軽鎖で構成されています。Bence-Jonesタンパク質は、このはしごの中に存在している可能性があります。Bence-Jonesタンパク質の存在を確認するには、二次元電気泳動による追加の分析が必要になります。
2. 過剰な抗原が存在する場合には、抗原（Bence-Jonesタンパク質）と抗体間で平衡が達成されるまで、濃縮物を希釈する必要があります。

関連製品

1. Amicon^™ Ultraデバイスは、同様の分析のために血清、血漿、脳脊髄液を濃縮する目的でも使用できます。疾患を有する患者からアガロースゲル電気泳動により遊離軽鎖を検出するためには、約20 mg/mLの濃度が必要です。免疫固定電気泳動による検出感度は、アガロースゲル電気泳動の10倍です。
2. 尿中Bence-Jonesタンパク質の濃縮には、静置濃縮装置（Minicon^®デバイス）も利用できます。

謝辞

尿濃縮用にAmicon^™ Ultraデバイスを使用したこのプロトコルでの研究は、テキサス州BeaumontのHelena LaboratoriesのMark Merchant博士が行いました。

参考文献

1. N. T. Clinical Guide to Laboratory Tests, 2nd ed. Philadelphia: Saunders, WB; 1990;362–363..

2. Kahn SN. 1991. Dear Dr. [Bence] Jones... 37(9):1557-1558. https://doi.org/10.1093/clinchem/37.9.1557

3. July 2002.. Cleveland Clinic homepage. Accessed .

4. Christenson RH, Behlmer P, Howard JF, Winfield JB, Silverman LM. 1983. Interpretation of cerebrospinal fluid protein assays in various neurologic diseases.. 29(6):1028-1030. https://doi.org/10.1093/clinchem/29.6.1028

5. Christenson RH, Tucker JA, Allen E. 1985. Results of dipstick tests, visual inspection, microscopic examination of urine sediment, and microbiological cultures of urine compared for simplifying urinalysis.. 31(3):448-451. https://doi.org/10.1093/clinchem/31.3.448