ネガ型フォトレジストキットの取り扱い方法
はじめに
本フォトレジストキット(Aldrich® Negative Photoresist Kit I:654892)には、リソグラフィープロセスにおける各ステップで必要な材料が含まれています。各材料は、便利にあらかじめ計量されており、エッチング液については、様々な基板に適切なものをお選びいただけるように、個別に販売しております。
フォトレジスト材料の取り扱いと保管:
フォトレジスト材料内で凝集が生じないように注意が必要です。
- 重合を防ぐため、キットは冷蔵保管し、開封前には室温に戻す必要があります。
- キット材料は光の当たらない場所に保管し、密閉したボトル内で保存してください。
取り扱い条件:
レジスト材料の取り扱いは、必ず適切な条件下で行ってください。
- ほこりやその他の粒子を防ぐために注意が必要です。
- 相対湿度は30~50%に調整してください。
- 適切な照明、好ましくは半導体工場用イエロー(ゴールド)蛍光灯、またはイエロー白熱灯、黄色またはオレンジ色フィルター付き白色蛍光灯などを使用してください。
フォトレジストキットを使用する際には、十分な換気が必要です。
フォトレジスト手順の概要:
- 基板の準備:クリーニング後、120~130℃で20~30分乾かします。
- フォトレジストの塗布:スピンコーターの使用が最適です。フォトレジストの塗布:スピンコーターの使用が最適です。
- プリベーク:82℃で20分間行います。
- フォトレジストの露光:露光時間は1~10秒で、光源の強さは少なくとも10 mW/cm2は必要です。
- フォトレジストの現像:10~60秒間、651788(Negative resist developer I)をスプレーし、続いてイソプロピルアルコールによる洗浄と圧縮空気または窒素での乾燥を行います。
- ポストベーク:120℃(最高148℃)で10分以上行います。
手順の詳細
- 基板の準備:
基板には有機物残渣がなく、表面粒子が除去されていることが非常に重要です。クリーニングは、溶媒を用いた徹底的な洗浄と120~200℃の温度での20分以内のベーキングにより行われます。推奨される溶媒はトリクロロエチレンです。 - 塗布:
非常に均一で再現性の高いコーティングには、スピンコーターが推奨されます。基板を回転させる前にフォトレジストを滴下する必要があります。回転中にレジストを滴下してはいけません。不均一な分布となってしまいます。四角形や長方形の基板は、低い回転数(50~1000 rpm)でコーティングを行います。未希釈のレジストを75 rpmで塗布すると、約2.5 μm厚のコーティングが得られます。基板の端やコーナー部分が厚くなります。レジスト厚は、回転の速度と加速度ならびにレジストの粘度に左右されます。円形の基板の場合は、高い回転数(2,000~5,000 rpm)でコーティングするのが最適です。5,000 rpm以上で基板を回転させた場合、レジストの厚みにはほとんど影響しません。粘度が低下すると、膜厚さに対するスピン速度の依存性も低くなります。より均一で薄い膜を実現し、基板の端で厚くならないようにするためには、最大回転数に達するまでの適切な時間は0.1秒です。膜厚は、スピンコーターを使用する場合、0.3~2 μmの範囲になります。エッチングの貫通とピンホールの形成を回避するためには、一般的に厚い膜(1~2 μm)が推奨されますが、厚い膜では解像度が低下してしまいます。より良い結果を得るため、薄い膜のコーティングを2回行います。 - プリベーク:
基板へのレジストの接着を最大限にするため、残留溶媒や揮発性成分をすべて蒸発により除去する必要があります。レジストを十分にベークしないと、レジストプロセスに必要な架橋反応が妨げられます。レジストの曇りや分解の原因となる過剰なベーキングには、注意が必要です。推奨されるベーク時間は、82℃で20分です。ベーク温度が104℃を上回ると、基板とレジストの密着の妨げとなります。 - フォトレジストの露光:
フォトレジストの露光には、近紫外域の光源を使用します。大面積光源は粗い線幅(50 μm以上)にのみ使用してください。細線パターニングには拡散の少ない光源が必要です。推奨される細線パターン用光源は、カーボンランプ、高圧水銀ランプ、またはキセノンフラッシュランプです。適切な露光には、約100 mW/cm2の光強度が必要です。厚さや加工条件が露光に影響を与える可能性があります。光源から少なくとも10 mW/cm2の照度が基板表面で得られる場合には、通常、1~10秒の露光時間で十分です。露光エネルギーは最適値から10%以上変動してはいけません。変動が大きくなるとパターン精細度と再現性が失われます。フォトレジストの回折効果によりマスク下で架橋反応が引き起こされ、2.5 μm程度のライン幅の拡大が発生します。 - フォトレジストの現像:
コーティングされた基板に現像液を10~60秒間スプレーした後、イソプロピルアルコールで複数回洗浄します。その後、窒素または精製された圧縮空気を吹き付けて表面を乾燥させる必要があります。 - ポストベーク:
フォトレジストのポストベークは、残留溶媒や揮発性成分の除去に必要であり、レジストの化学的安定性と接着性を高めることを目的に行われます。推奨されるポストベーク条件は120℃で10~20分で、148℃を超えてはいけません。 - フォトレジストの除去:
加熱した塩素化炭化水素(651761:Negative resist remover I含有成分など)は、フォトレジストを膨張させ、加熱したH2SO4と組み合わせることで、効果的にレジスト膜を除去します。RemoverとH2SO4に最適な温度は50~60℃です。
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