Roche® FAQ & トラブルシューティング(プロテオミクス)
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エンテロキナーゼを失活させる方法を教えてください。
文献によると、エンテロキナーゼはTLCKなどの既知の、ほとんどのトリプシン阻害剤で阻害できます。反応で使用後の、エンテロキナーゼの失活のよりよいオプションは、不可逆的なセリンプロテアーゼインヒビターの使用です。不可逆的阻害剤にはPefabloc SCの使用を推奨します(反応は通常、凍結や融合タンパク質の更なる精製で停止され、これら阻害剤の実際的な経験はありません)。
タンパク質にタグをつける際の最良のエピトープは何ですか?
最良のタグは、タグタンパク質の機能に干渉せず、ウェスタンブロット上で強い検出シグナルを与えるものです。すべてのタギングアプリケーションで最適な唯一のタグは無く、特定のタグがそのタンパク質でどのような挙動をとるか信頼性を持って予言できる人はいません。
特定のタグをつけたタンパク質が成功している同様のタンパク質に対する論文をレビューしてください。エピトープタグのコピー数を考慮してください。タグシーケンスの複数コピーはより強い検出シグナルを与えますが、タンパク質の機能に干渉する恐れがあります。タグの位置に留意してください。タンパク質の両端の一つへのタグの付加は、タンパク質の機能への干渉を弱めます。
ペファブロックSCの半減期は?
4℃:72 hours、22℃:20 hours、37℃:6 hours
ヒストンH1の分子量と溶媒は?
Histon H1 | ~ 21.5 kDa リジンの含量が多いため、SDS-PAGEでは30 kDaにシフトします。 |
Histon H2A | ~ 13.774 kDa |
Histon H2B | ~ 14.004 kDa |
Histon H3 | ~ 15.324 kDa |
Histon H4 | ~ 11.282 kDa |
溶媒:水に溶解してください。バッファーでも大丈夫と思われますが、テストが必要です。水への溶解性は、>1 mg/mLです。
凍結乾燥品は4℃、乾燥状態で12ヶ月間安定です。分注液は-20℃で数ヶ月は安定です。凍結融解の繰り返しは避けてください。
cOmplete™ プロテアーゼインヒビターカクテル
cOmplete™ を透析で除去する際の膜のカットオフ値は?
10 kDa(タンパク質系阻害剤が含まれるから)
DNA結合タンパク質精製キットで、cOmplete™ は使用可能ですか?
文献では各種インヒビターのミックスが使用されているので、cOmplete™ も使用可能です。
タグタンパク質の精製と検出
Anti-HA-Fluoresceinを使用した文献リストはありますか?
以下の2つの論文があります:
- Förster et al., 1996, Cell 87: 1037-1047
- Emrich et al, 1993, Biochem. Biophys. Res. Commun. 197: 214-220
タグタンパク質の免疫沈降にAnti-HA Affinity Matrixを使用しています。タンパク質の可能な限りの濃縮溶出液を得るためには、どのような推奨がありますか?
ステップ2から5の免疫沈降プロトコールに従うことをお勧めします。ミクロ遠心チューブ中に再懸濁された50 μLのAnti-HAマトリックスを使用してください。アフィニティ精製プロトコールに記載された洗浄と溶出バッファーを使用してください。3回の洗浄(免疫沈降プロトコールのステップ5)後、マトリックスを50 μLの溶出バッファーで37℃、15分間インキュベートします。注記:溶出は低温で行いますが、精製タンパク質の収量は低くなります。前述のようにスピンダウンし、上澄を採取します。溶出ステップを後2回繰り返します。最終的に、トータル150 μLの溶出バッファー中にタンパク質が得られます。50 μLの2回の溶出で、ほとんどのタンパク質が得られるはずです。
間接検出操作法でAnti-HA抗体を一次抗体として使用したとき、ウェスタンブロットで"ゴーストバンド"を引き起こす原因は何ですか?
おそらく、サンプル中の他のタンパク質への一次抗体や二次抗体の非特異的結合です(Field et al., 1988 Mol.Cell.Biol. 8: 2152-2165)。標識二次抗体によるゴーストバンドを除去するために、POD標識anti-HAを検出抗体とする直接検出法に代えてください。
また、HAタグタンパク質を欠いたホスト生物から調製した陰性コントロール細胞抽出液を、ウェスタンブロットで同時に処理してください。非特異的シグナルから陽性シグナルを判別できると思われます。
HAマトリックスに非特異的に結合するタンパク質を除去したいと思います。免疫沈降の前に、タンパク質ミックスをプレクリーニングするにはどのアガロースが適切ですか?
Anti-HA Affinity Matrixに関しては、この製品の開発中に哺乳細胞、バクテリア、酵母抽出液で試験しましたが、免疫沈降でよい結果を得るための、ライセートのプレクリーニングの必要性は見つかりませんでした。架橋型アガロースならどれでもプレクリーニングに適していると思われますが、試験はしていません。
私のHAタグタンパク質は高濃度のサリーン溶液(0.4 M)にしか溶解できませんが、Anti-HA Affinity Matrixとの組み合わせでは、僅かの沈殿しか観察されません。抗体とエピトープの結合や抗体とマトリックスの結合で、イオン強度の増加の影響はありますか?
抗体とマトリックスの結合は共有結合のため、0.4 Mの塩では影響されません。抗体とエピトープの結合がこの塩の条件で妨害されることは、様々なタグタンパク質が異なる挙動をするとしても、我々の経験ではありません。多分、タグの位置を変えてみるのが一助となるでしょう。
それ以上に、次の点をチェックしてみてください:
(1) タグタンパク質が実際に発現されているか確認していますか? これは、様々なアッセイや、異なるAnti-HA抗体での認識でチェックできます。
(2) 未結合のタグタンパク質が存在するかどうかを見るために、マトリックスに結合していない免疫沈降反応のフラクションを試験してみましたか?他の推奨として、トラブルシューティングも参照してください。タグタンパク質が存在していれば、これらの条件下で、免疫沈降は成功するはずです。
HAタグがN-あるいはO-末端ではなく、タンパク質のアミノ酸配列の真ん中辺りにあるときに、Anti-HA Affinity Matrixで成功したという文献はありますか?
原理的に、HAタグは、マルチタグマーカータンパク質に見られるように、内部配列としてもアクセス可能です。マルチタグマーカーにおいて、HAタグは末端にはありません(ただし、まったくの真ん中ではない)。それゆえ、これは、内部タグとほぼ同等と思われます。しかしながら、タンパク質表面に暴露されない場合は、タグ配列が二次構造により隠されている恐れがあります。また凝集タンパク質では、タグは検出できないでしょう。このケースでは、ウェスタンブロットなど、タンパク質が変性された場合にのみ、検出が出来るでしょう。
エンドプロティナーゼ
トリプシン、エンドプロティナーゼGlu-Cの両酵素はpH 5で使用できますか?
セリンプロテアーゼはアルカリ域(8-8.5)で作用します。酸性側ではセリンがプロトン化しているため、作用しません。
その他
フォルマリン固定細胞にノイラミニダーゼは使用できますか?
データはありませんが、以下のプロトコールを参照してください。
1. ダルベッコPBSで3x107 細胞を洗浄。
2. 等量の1%パラフォルムアルデヒド、0.1 Mカコジル酸ナトリウム、pH 7.3で、4℃で1時間固定。
3. PBSで3回洗浄後、 150 μLの液量中で3x107 cells /mLの濃度にPBS中で再懸濁。
4. 250 U/mLのノイラミニダーゼで、37℃で1時間の処理。
ビオチンラベリングキットのセファデックスG25カラムの再生法は?
セファデックスG25を30 mLのPBSバッファー(5 mLで6回)で洗浄するだけで再使用可能。5回までは再生可能。
タンパク質の脱リン酸化のプロトコールはありますか?
以下の論文を参照してください:
Borner, C. et al. (1989) "Biosynthesis and posttranslational modifications of protein kinase C in human breast cancer cells" J. Biol. Chem. 264, 13902-13909
Brugg, B. and Matus, A. (1991) "Phosphorylation determines the binding of microtubule-associated protein 2 (MAP2) to microtubules in living cells" J. Cell. Biol. 114, 735-743
Cobitz, A.R. et al. (1989) "Phosphorylation of Ras 1 and Ras 2 proteins in Saccharomyces cerevisiae" Pro. Natl. Acad. Sci. USA 86, 858-862
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=2474538&dopt=Abstract
プロテアーゼインヒビター
膜浸透性の阻害剤は何ですか?
アンチパイン、E-64、キモスタチン、ロイペプチン、ペプスタチン、PMSFなどがあります。
タグタンパク質の精製と検出
Hisタグタンパク質の精製と検出
cOmplete™ His-tag 精製レジン/カラムからの目的タンパク質の収量(溶出量)が少ないようです。
下記の可能性が考えられます。それぞれの対策をご検討ください。
1. 目的タンパク質がレジンへ強力に結合している可能性があります。
対策1:溶出バッファーのイミダゾールを高濃度にします。(250 mM以上が適することもあります)
対策2:イミダゾール溶出の場合、pHシフト法による溶出を試します。(レジンはpH3~4程度まで使用できます。) pHシフト法の場合はイミダゾール溶出を試します。
2. 目的タンパク質が分解してしまっている可能性があります。
対策1:2-8℃の環境で精製し、非特異的なタンパク質分解酵素の働きを抑えます。
対策2:発現から精製までの各ステップにプロテアーゼインヒビターを添加し、非特異的な分解を防止します(cOmplete™ インヒビターシリーズのご利用をおすすめします)。
対策3:発現ホストを変更します。(精製前に分解してしまう場合)
3. 目的タンパク質は結合していますか?電気泳動などでご確認ください。
目的のタグタンパク質が結合していない、結合量が少ない場合はこちらもご参照ください。
cOmplete™ His-tag 精製レジン/カラムから目的タンパク質が溶出できません。
下記の可能性が考えられます。それぞれの対策をご検討ください。
1. 目的タンパク質がレジンへ強力に結合している可能性があります。
対策1:溶出バッファーのイミダゾールを高濃度にします。(250 mM以上が適することもあります)
対策2:イミダゾール溶出の場合、pHシフト法による溶出を試します。(レジンはpH 3~4程度まで使用できます。) pHシフト法の場合はイミダゾール溶出を試します。
2. 目的タンパク質が分解してしまっている可能性があります。
対策1:2-8℃の環境で精製し、非特異的なタンパク質分解酵素の働きを抑えます。
対策2:発現から精製までの各ステップにプロテアーゼインヒビターを添加し、非特異的な分解を防止します(cOmplete™ インヒビターシリーズのご利用をおすすめします)。
対策3:発現ホストを変更します。(精製前に分解してしまう場合)
3. 目的タンパク質は結合していますか?電気泳動などでご確認ください。
目的のタグタンパク質の結合に問題が疑われる場合はこちらのリンクもご参照ください → 目的タンパクが結合しない、結合が弱い
cOmplete™ His-tag 精製レジン/カラムで精製を行ったところ、タンパク質のレジンへの結合量が少ないようです。
目的タンパク質がレジンへ結合できない、または結合が弱い可能性があります。 下記の4点について検討してみてください。
1. 結合バッファー、洗浄バッファーを0 mMイミダゾールにします。
2. サンプル添加時の流速をゆるやかにします。
3. サンプル添加後、洗浄前にインキュベーション時間を増やし目的タンパク質を確実に結合させます。
4. 1-3の条件と組み合わせて、ゆるやかなグラジェント溶出を行います。
※cOmplete™ His-tag 精製レジンは他社のニッケルレジンと性質が異なっております。より低濃度イミダゾールの使用が適していますので、切り替えご検討の際は条件にご留意ください。
cOmplete™ His-tag 精製レジン/カラムで精製を行ったところ、目的タンパク質が結合していないようです。目的タンパク質がフロースルーに溶出してしまいます。
目的タンパク質がレジンへ結合できない、または結合が弱い可能性があります。下記の4点について検討してみてください。
1. 結合バッファー、洗浄バッファーを0 mMイミダゾールにします。
2. サンプル添加時の流速をゆるやかにします。
3. サンプル添加後、洗浄前にインキュベーション時間を増やし目的タンパク質を確実に結合させます。
4. 1-3の条件と組み合わせて、ゆるやかなグラジェント溶出を行います。
※cOmplete™ His-tag 精製レジンは他社のニッケルレジンと性質が異なっております。より低濃度イミダゾールの使用が適していますので、切り替えご検討の際は条件にご留意ください。
その他
我々は核の粗抽出物をDIGゲルシフトキットで使用しています。特異的未標識オリゴヌクレオチドと競合させたときには、DNA/タンパク質コンプレックスを見ることが出来るのですが、まだ多くのプローブ/タンパク質がスロットに残ります(ゲルに入っていかない)。非特異的コンペティターを増やしてみましたが、助けになりませんでした。より多くの未標識のオリゴを試しましたが、同量のコンプレックスがスロットに残っており、コンプレックスはより少なくなりました。タンパク質抽出物を減らしてみましたが、これも効果がありませんでした。この問題を解決するためのサジェスチョンは何かありますか?
DIG Gel Shift Kit, 2nd generationに含まれるOctコントロールは、何の問題もなくゲル中をランするはずです。Oct2aは温度に敏感ですが、さほど劇的ではありません(これは室温でランできるという意味です)。
DNA/タンパク質コンプレックスが、ゲル中に入らない理由は、DNAフラグメントのサイズと多数の結合部位のせいと考えられます。DNAフラグメントのサイズを小さくするか、オリゴヌクレオチドを使用してみてください。
- 必須なのは、SDSゲルではなくネイティブなPAAゲルを使用することです。
- キット内のPoly d(IC)は、非特異的なタンパク質の結合によるスメアの形成を防ぎます。
- 主な両方のローディングバッファーが使用できます。
分析するタンパク質や抽出物の、DNAフラグメントやオリゴヌクレオチドへの非特異的な結合を防ぐために、非特異的な競合オリゴヌクレオチドを結合反応に加えます。GC-リッチ結合シークェンスが予想できる場合は、非特異的コンペティターとしてpoly [d(I-C)]を添加します。AT-リッチ結合シークェンスが予想できる場合は、poly [d(A-T)]を加えます。注:コンペティターDNAの至適量は、実験的に決定します。
PBSや一般的なバッファーには不溶性で、8 M尿素にしか溶けない不溶性糖タンパク質の脱糖鎖化は?
以下のプロトコールを参照してください:
-100 μgのタンパク質を250 μL(8 M尿素、0.5Mメルカプトエタノール、1M TrisでpH 7.5に調整)に希釈する。
-37℃でオーバーナイトインキュベーション。
-20 mMイオジンアセトアミド+50 mMリン酸カリウムで透析。
-50 mMリン酸カリウム、pH 7.5で透析(2時間を4回)。
-12 UのN-グリコシダーゼF酵素を加え、37℃でオーバーナイト消化。
その他、プロテオミクス製品ついて不明点がございましたら、弊社テクニカルサービスまでお問い合わせください。
Tel: 03-6756-8245 E-mail: jpts@merckgroup.com
cOmplete™ is a trademark of Roche.
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