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ゲル電気泳動

タンパク質ゲル電気泳動タンパク質ゲルを泳動させるゲル電気泳動チャンバー

タンパク質ゲル電気泳動は、タンパク質の精製、検出、同定のためにタンパク質を分離する方法です。この方法では、荷電したタンパク質分子が電界によってゲル中を泳動します。この電界による泳動は、タンパク質の大きさ、形状および荷電状態によって異なります。

タンパク質電気泳動のマトリックスには、ポリアクリルアミドゲルとアガロースゲルが使用できます。これらのマトリックスはふるいとして機能し、より小さいタンパク質は大きなものより速く泳動します。アガロースの孔径は大きいため、巨大なタンパク質複合体などの半径が5~10 nmを超えるタンパク質の分離に使用できます。ポリアクリルアミドの孔径は小さく、5~2,000 kDaの大きさのタンパク質を分離できるので、タンパク質電気泳動で最も一般的に使用されています。

タンパク質電気泳動にはいくつかの方法がありますが、目的タンパク質に関して、方法ごとに異なる情報が得られます。


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SDS-PAGE

ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)では、分子量に基づいてタンパク質を分離できます。この方法では、泳動緩衝液にSDS界面活性剤を加えます。SDSはタンパク質に正味の負電荷を与え、固有の電荷を隠します。SDSおよび変性試薬の存在下でタンパク質が分離されるにつれ、タンパク質は球状構造がほどけて、より直線になります。結果として、SDSが結合したタンパク質がゲルを泳動する速度は主にその大きさに依存します。そのためタンパク質標準品と比較することで、分子量が推定できるのです。

ネイティブPAGE

ネイティブ(非変性)ポリアクリルアミドゲル電気泳動では、各タンパク質のネイティブ(本来)の立体(三次)構造、サブユニットとの相互作用(四次構造およびタンパク質間相互作用)、そして生物学的活性を保持したままタンパク質は分離されます。この方法では、調製したタンパク質を非還元・非変性条件下で泳動させます。タンパク質の動きは複雑な因子の組合せで決定されます。これは、各タンパク質はその荷電状態により片方の電極に向けて泳動しますが、その速度は各タンパク質の形状および結合動態によって異なるためです。このため、ネイティブPAGEは分子量決定には推奨されません。一般にネイティブPAGEは、活性タンパク質の精製が必要な用途や、ネイティブ型のタンパク質しか認識しない抗体で検出する場合に使用されます。

等電点電気泳動(IEF)

等電点電気泳動では電界とpH勾配の両方を用いて、ネイティブなタンパク質の等電点(pI)によってタンパク質を分離します。タンパク質はpH勾配にそって泳動し、その正味の電荷は変化します。電界下では、各タンパク質は正味電荷が0となるpH(これをそのタンパク質の等電点と言います)に向かって泳動します。分離過程中、試料中のタンパク質はゲル中の特定かつ予測可能な場所に集まり、すなわち「焦点」を示します。等電点電気泳動は、複雑な試料(細胞や組織溶解物、血漿など)中のタンパク質の同定や、翻訳後修飾の解析、そして質量分析用の試料の分離に使用されています。

二次元PAGE

二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、固有の等電点(pI)および質量の両方にしたがってタンパク質を分析できます。pIによる分離は等電点電気泳動(IEF)で行います。質量による分離はSDS-PAGEで行います。二次元PAGEはタンパク質の解析に最高の分離能を与え、単一のゲル上で何百から何千ものタンパク質を分離するプロテオミクス解析で広く使用されています。




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