タンパク質サンプルの限外ろ過
限外ろ過とは?
限外ろ過(UF)とは、液体中の微細な粒子と溶解分子を液体から分離するプロセスです。主な分離基準は分子量ですが、フィルターの透過性はサンプルの化学的、分子的または静電気特性により影響を受ける可能性があります。限外ろ過によって分子が分離されるためには、分子の大きさが1桁以上異なり、かつ、分子量が1 kDa~1000 kDaである必要があります。また、限外ろ過膜を使うことで、ろ液(フィルターを通過する溶液)の精製や保持液(フィルターによって保持される物質)の回収も可能です。
限外ろ過は一般的に、次の目的に使用されます。
- バッファー交換、脱塩または濃縮のためにタンパク質をバッファー成分から分離する
- 糖の除去または交換
- 非水性溶媒の除去または交換
- 遊離型リガンドとタンパク質結合型リガンドの分離
- 低分子量の物質の除去
- イオン/pH環境を急速に変化させる
限外ろ過と透析の違い
透析とは、粒子と溶解分子をそれらの膜透過能に基づいて液体から分離させることを指します。透析は限外ろ過と同様、分子量によって物質を分離するために使用されます。限外ろ過と透析はいずれも精製、溶媒交換と脱塩に使用できますが、特定の用途に対してそれぞれの利点があります。透析と限外ろ過それぞれの利点は限外ろ過のインフォグラフィックをご覧ください。
限外ろ過膜と精密ろ過膜の違い
Ultracel®再生セルロース膜を含む限外ろ過膜は、2つの個別の層で構成されている膜です(図1)。
- 孔径10~400オングストロームの孔が開いている緻密な薄い(0.1~1.5 µm)スキン層
- 非常に多孔質な構造のサポート層
サポート層の多孔質な構造とは対照的に、緻密なセルロースのスキン層は高度に制御された正確な孔径をもつため、正確な分子量カットオフ値(MWCO)が設定できます。もし微粒子がMWCOを下回り、緻密なスキン層を通過できる場合は、次の多孔膜を自由に通過できます。
微多孔質膜は、一定の孔径をもつポリマー製の硬質な連続メッシュであり、細菌、コロイド、微粒子の保持に用いられます (図2)。粒子は膜表面上に保持されるか、その部分構造内(デプスフィルター)にトラップされます。
図1.限外ろ過膜の断面図。スキン層と多孔質なサポート層がみられる
図2.従来の微多孔質膜の断面図。上から下まで均一な孔構造がみられる
お客様のラボでの限外ろ過の使用について、まだご不明点がありますか。タンパク質サンプル調製に関するメルク限外ろ過プロトコルをご覧いただければ、お客様のサンプル調製をいかにスピードアップして改善できるか、おわかりになると思います。
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