水処理施設における化学的酸素要求量(COD)の測定
Republished with permission from Water Online: "A Safe, No-Hassle Way To Measure Chemical Oxygen Demand," September 14, 2016
化学的酸素の測定
はじめに
多くの処理施設が、化学的酸素要求量の試験を定期的に行っています。試験所で行う試験法のなかには、時間がかかるものや技術者を有毒化学物質にさらすものがあります。さらに、試料中の成分からの干渉によって試験結果が影響を受ける場合もあります。
メルクは、ライフサイエンス業界のグローバルリーダーであり、数多くの分析物を測定するためのテストキットを生産してきました。Water Onlineと化学的酸素要求量の測定の進歩をテーマに協議してきました。
質問
なぜ化学的酸素要求量(COD)の測定が重要なのですか?
CODは流入する廃水の処理に必要な酸素量の指標であり、これによってエアレーション装置の使用が促され、最終的には電気の使用につながるため、CODはほとんどのユーザーにとって重要です。CODレベルを知ることにより、電力使用を微調整して余計な光熱費を回避できます。さらに高いレベルにおいてもCODは重要な測定値であり、排水が放流水域にどの程度の影響を及ぼすかを特定するために役立ちます。生物学的酸素要求量(BOD)よりも試験がはるかに簡便で堅牢なため、CODはBODの推定量として一般に使用されています。よく知られている応用例では、BODとCODの比率を確立しており、これによりCOD試験によるBOD濃度の推定がかなり容易になっています。
水や廃水の試験所ではCODを測定するために通常どのような試験法を使用していますか?
最も一般的な試験法は、酸によるCODの酸化後に六価クロムなどの指標化合物を用いる比色分析です。しかし、比色分析を妨げる化合物があるため、その場合には滴定によってCODレベルを測定する必要があります。
どのような成分が試験結果に干渉しますか?
水流の組成にもよりますが、その濃度が極端に高い場合には、数多くの化合物がCOD試験を妨げるおそれがあります。クロム、亜硝酸塩、亜硫酸塩、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、および塩化物などはすべて、これらが十分に高い濃度で見られる場合には精度に影響を及ぼす可能性があります。しかし、最もよく見られる干渉源は、CODレベルの試験で誤った高い結果をもたらす可能性のある塩化物です。
塩化物レベルの高い海水、汽水、または汚染水の試験が必要な脱塩工場やその他の試験所で使用できる試験法はありますか?
これまでは、2,000 mg/Lを超える塩化物レベルがCOD分析に大きな問題を引き起こす要因となっていました。海水や汽水はこの上限値を1桁以上超えることがあり、また一部の産業プロセスでは100,000 mg/Lを超える塩化物レベルの試料が生じる可能性があります。メルクは、産業界におけるこの問題を認識した上で、塩化物抽出ステップを取り入れたCODテストキット製品シリーズを開発しました。これにより、高塩化物含有による干渉が確実に解消され、正確な試験結果が得られます。
COD試験でサンプルから塩化物を除去/抽出する必要があるのはなぜですか?
塩化物は、いかなる濃度でもCODの分光光度分析を妨げます。これを補償するためにほとんどのテストキットに必要となるのは、硫酸水銀を添加して塩化物を沈殿させる前処理ステップです。しかし、これが有効なのは2,000 mg/Lまでの塩化物であり、さらに多くの硫酸水銀を添加すれば試験の精度が損なわれます。これは、水と硫酸の正確な割合が最終試験で必要になるためです。
どうすれば塩化物を試料から除去できますか?
メルクの特許出願中の塩化物抽出プロセスでは、硫酸を使用してガス状のHCl(塩化水素)を発生させ、HCl吸収管とソーダ石灰指示薬でこれを捉えています。このプロセスは、従来のCOD光度分析よりも時間がかかりますが、従来の滴定試験よりは短時間です。
CODセルテストを使用して高塩化物試料のCODを測定するには、どのような製品が必要ですか?
高塩分濃度用のCODテストキットに加えて、低COD含有量が認定された硫酸、HCl吸収管、ソーダ石灰、フラスコ、および速度制御対応の磁気撹拌機が必要です。フラスコと撹拌機以外の、試験に必要な残りの部材については、メルクが供給できます。
水酸化カルシウムよりもソーダ石灰の方が吸収材の選択肢として優れているのはなぜですか?
ソーダ石灰は、この用途での吸収性能に優れ、また凝縮した水蒸気が溶液に戻るのを防ぐことができるため、水酸化カルシウムではなくソーダ石灰の使用が推奨されます。この一見して些細な特性が認められたことで、測定精度が改善されました。
CODセルテストの使用はopen reflux・滴定法と比較してどのような長所がありますか?
短時間で済み、技術者による手入力が少ないなどの目先の利点もありますが、セルテストキットを使用すれば、有害化学物質の使用量を10分の1に、また総廃棄物量を20分の1近くまで削減できます。さらに、セルテストキットは、試験技術者の有害化学物質へのばく露量を低減します。
水銀フリーCODセルテストを使用する利点は何ですか?
メルクは、前述した高塩分濃度用のCODテストキットに加えて、水銀フリーのCODテストキットも開発しました。世界中の多くの地域で、水銀汚染は、試験技術者だけでなく規制機関にとっても大きな懸念材料になりつつあります。メルクは、水銀フリーテストキットの開発により、水銀汚染や規制要件からの逸脱を心配せずに、CODレベルの迅速な分析に使用できる比色試験法を実現しました。
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