食品(クマのグミキャンディーとブラウニー)中の大麻化合物分析
Olga Shimelis, Principle R&D Scientist, Kathy Stenerson, Principle R&D Scientist, Margaret Wesley
2016 R&D Summer Intern from Pennsylvania State University, State College, PA
はじめに
マリファナ添加食品の試験は、関連するマトリックスが複雑です。最も知られているマトリックスはクマのグミキャンディーとブラウニーです。あるラボのサイトによれば、食品中の活性成分濃度は数ppm~3.5 ppthに及ぶことがあります1。本アプリケーションでは、クマのグミキャンディーとブラウニーからカンナビノイド化合物を抽出する手順を開発しました。その手順には、研究対象である食品から簡便かつ迅速な抽出と、ビフェニルHPLCカラムを利用したHPLC-UVによる分析が含まれます。
実験方法
本実験では、メタノール中またはアセトニトリル中の1 mg/mL溶液として入手可能なCerilliant®カンナビノイド標準物質を使用しました。カンナビノイドの濃度は、グミキャンディー抽出物とブラウニーのいずれにもすべての化合物を約40 ppmで添加できるものでした。本研究には、以下の化合物、カンナビジバリン酸(CBDVA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビノール(CBN)、(-)-Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)、(-)-Δ8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC)、および(-)-Δ9-テトラヒドロカンナビノール酸A(THCAA)を含めました。11種類の異なるカンナビノイドのリストには酸性型がいくつか含まれるため、これらをそれぞれの天然型で定量するためにHPLC分析を使用しました。
使用したHPLCカラムは、11種類の化合物をすべて13分未満で分離するAscentis®Express Biphenyl、粒径2.7 μmでした。Fused-Core®粒子を持つこのカラムを使用したことによって背圧が低下したため、標準圧力のHPLCシステムを利用できました。
試料調製
クマのグミキャンディー1個(非添加、2.3 g)を温水20 mLに溶解しました。その後、この溶液にカンナビノイドを添加し、QuEChERSにて抽出しました。それぞれのクマのグミキャンディーに添加した平均濃度は化合物ごとに45 ppmでした。異なる4色(橙色、黄色、赤色、および緑色)のクマのグミキャンディーを試験しました。添加後、水/キャンディー溶液をプラスチック製50 mL QuEChERS抽出チューブ(55248-U)に移し、アセトニトリル(10 mL)を加え、チューブを手で1分間振とうしました。Supel™ QuE(バッファーなし、55295-U)を加え、試料をQuEChERS振とう器で5分間振とうしました。振とう後、試料を5000 rpmで5分間遠心分離し、上層を回収してHPLCに直接注入しました。
ブラウニーでは、砂糖がかかったブラウニー試料(非添加)2.5 gをQuEChERS抽出チューブに加え、カンナビノイドを添加して30分間静置してから抽出しました。ブラウニーの平均添加濃度は40 ppmでした。前述したクマのグミキャンディーと同様にQuEChERS抽出を行いました。抽出後、上層のアセトニトリル層をバイアルに収集し、HPLC分析の前に3時間冷蔵して脂質を除去しました。
最終抽出物中で予想される濃度10 μg/mLを想定したアセトニトリル中の検量線を作成し、 2 μg/mL、5 μg/mL、10 μg/mL、20 μg/mL、25 μg/mLの検量点を含めました。
結果と考察
クマのグミキャンディー試料では、赤色、黄色、緑色はいずれも220 nmでのカンナビノイドの検出を妨害しないことが分かりました。赤色は一部がアセトニトリル中に抽出されましたが、緑色と黄色は抽出しても水層に残りました。一方、クマのグミキャンディーの橙色は、アセトニトリル中に抽出するとCBDVAと共溶出した妨害ピークを持つことがわかりました。そこで、橙色のクマのグミキャンディーでは、妨害を受けない吸収極大280 nmでCBDVAを定量しました。本研究では、残りの化合物は220 nmで定量しました(図1)。
図1. (a) 220 nmと(b) 280 nmにおける橙色のクマのグミキャンディー抽出物のHPLCクロマトグラム図2.220 nmにおけるブラウニー抽出物のHPLC。ピーク溶出順は表1に記載。
クマのグミキャンディー試料では抽出後のクリーンアップは不要でしたが、ブラウニー抽出物をそのままHPLCに注入すると、ブラウニー中の共抽出物によって被分析物質の回収率が低下することが分かりました。ブラウニー抽出物は、共抽出物である脂質を除去するために冷蔵してクリーンアップしました。
ブラウニー抽出物を複数回注入した後、10 μg/mLの標準物質を注入して耐久性を試験しました(図2)。ブラウニー抽出物を7回注入した後も、ピーク保持時間に影響がないことが分かりました。これは、注入と注入の間にカラムが完全に洗浄されていたことを示します。標準物質のピーク面積はわずかに(4%)減少しました。
図2. 220 nmにおけるブラウニー抽出物のHPLC。ピーク溶出順は表1に記載。
グミキャンディーでは90%超、ブラウニーでは80%超という優れた回収率値が得られました(表1)。
*橙色のクマのグミは、妨害バックグラウンドピークを避けるため、280 nmで定量しました。
注:THCAはAOACが使用する略称です。
結論
ブラウニーとクマのグミキャンディーの両方に含まれるカンナビノイド化合物の分析方法を開発しました。抽出手順にはアセトニトリル中への塩析ステップが含まれ、追加精製は必要ありません。11種類の化合物をビフェニルHPLCカラムにより13分間で分離しました。活性化合物のCRMはSigmaAldrich.comを通してCerilliant®から購入できます。
参考文献
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