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MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルA:霊長類の免疫因子で最大のラインナップ

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAにより、最も多くの霊長類の免疫因子を1枚の96ウェルプレートでプロファイルできます。Duplicateで解析する場合、1枚のプレートで1,800を超えるデータポイントを取得でき、時間とサンプル量を節約できます。MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAは、研究のニーズに合わせて必要なアナライトのみをフレキシブルに選択することができます。また、カスタマイズのプレミックスを選択することも、38プレックスまたは48プレックスのプレミックスパネルを選択することもできます。

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAの標準曲線のグラフ。すべてのアナライトの標準曲線。MXPRSM-A Serum Matrixを使用して作成。ただし、RANTESはL-AB Assay Bufferを使用して作成。このアッセイは、カタログ番号PRCYTA-40Kのオーバーナイトプロトコルを用いて実施。

図1.MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAの標準曲線。すべてのアナライトの標準曲線。MXPRSM-A Serum Matrixを使用して作成。ただし、RANTESはL-AB Assay Bufferを使用して作成。このアッセイは、カタログ番号PRCYTA-40Kのオーバーナイトプロトコルを用いて実施。

サイトカイン、ケモカイン、成長因子とは?

サイトカインは、リンパ球、単球、マクロファージなどの細胞から分泌される低分子タンパク質、ペプチド、または糖タンパク質の一種で、免疫応答、造血、リンパ球の分化を制御します。サイトカインには以下が含まれます。

  • インターロイキン
  • インターフェロン
  • ケモカイン
  • その他のシグナル伝達分子

成長因子は、細胞の成長と増殖を促進する細胞外ポリペプチドです。成長因子とサイトカインは、その構造と作用機序が似ています。サイトカインや成長因子はそれぞれ、ターゲット細胞上の独自の受容体を介してシグナル伝達を行い、その結果として生物学的プロセスを制御します。サイトカインや成長因子およびその受容体の発現は高度に制御されています。制御の異常は、感染症、自己免疫性および慢性の炎症性疾患、心血管疾患、メタボリックシンドローム、神経疾患、がんなどの多くの疾患に関与している可能性があります。

サイトカインおよび成長因子の研究は、免疫系およびその関連疾患の治療法を深く理解するために役立ちます。ヒトに最も近い生物種である霊長類は、これらの研究に不可欠なモデル動物です。

MILLIPLEX®アッセイ開発

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAは、Luminex®社の磁気ビーズを用いて開発されました。1各ビーズセットは、2つの色素の比率が異なり、ビーズセットごとに固有の蛍光特性を示すことで識別できます。捕捉抗体は磁性ビーズと結合しています。図2に、Luminex®の原理とシステムを示します。

(A) Luminex®タンパク質検出イムノアッセイ法の図、(B) MILLIPLEX®キットで使用するシステムの画像(xMAP INTELLIFLEX®、FLEXMAP 3D™、Luminex® 200™、MAGPIX®システム)

図2.(A) Luminex®タンパク質検出イムノアッセイ法、(B) MILLIPLEX®キットで使用するシステム(xMAP INTELLIFLEX®、FLEXMAP 3D、Luminex® 200™、MAGPIX®システム)

MILLIPLEX®の品質・アッセイ検証

キット開発および検証は、選択性と特異性の試験を行い、測定サンプルタイプにおいて交差反応性が無視できるレベルであることを確認します。さらに、シングルプレックスとマルチプレックスでアッセイ性能が一貫していることも確認します。抗体の特異性を高めるためバッファーと希釈液を最適化しており、サンプル中の目的のアナライトのみを検出します。血清/血漿サンプルを使う場合に、標準曲線およびクオリティーコントロール(QC)のウェルにおいてもサンプルのマトリックスと最も似た状態にするため、慎重に選択および最適化したSerum Matrixを使用し、アッセイ性能を標準化します。ストレプトアビジン-フィコエリスリン(SAPE)濃度は、最適なシグナルになるように調製済みで、希釈不要ですぐに使える状態で提供しています。さらに、すべてのMILLIPLEX®キットは、輸送時の安定性についても厳しく試験が行われるだけでなく、サンプルの温度や凍結/解凍に対する耐久性についても試験が行われています。

生物関連サンプルが検出可能であり、標準曲線の直線部分に収まることを確認するため、サンプル希釈試験も行っています。MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAを用いて、5種類の霊長類の血清および血漿サンプルを試験しました。アッセイは、最もよく研究されている2種類の霊長類、アカゲザル(Macaca mulatta)、カニクイザル(Macaca fascicularis)を用いて検証されました。また、ヒヒ(Papio cynocephalus)、チンパンジー(Pan troglodytes)、アフリカミドリザル(Cercopithecus aethiops)の血清および血漿サンプルを用いて追加の検証試験も行われました。加えて、カニクイザルの末梢血単核細胞(PBMC)についても評価しました。

各アナライトの組換えタンパク質の低希釈液および高希釈液である2つのクオリティーコントロール(QC)は、標準曲線の最適な位置に検出されるように製造されています。QCレンジシートが各キットに同梱されています。また、各アッセイで、毎回、実験に適したサンプルをコントロールとして加えることを推奨します。

イムノアッセイのワークフロー

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAには、詳細で従いやすいプロトコルが添付されています。また、キット構成品の多くは、そのまま使用でき、アッセイのばらつきと試薬の調製にかかる時間を減らすことができます。48種類の免疫マーカーをpg/mLレベルで検出でき、ロット間で標準曲線濃度が変わらず、使いやすいキットとなっています。ロット間で一貫した標準曲線を使用することで、プロジェクト全体でサンプル結果の一貫性が達成でき、信頼性の高い結果が得られます。

MILLIPLEX®マルチプレックスパネルに関する詳細については、技術資料「Luminex®マルチプレックスアッセイテクノロジーの概要」をご覧ください。

サンプルの検出性

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAの開発において、MILLIPLEX®キット(カタログ番号PRCYTOMAG-40KおよびPRCYT2MAG40K)と比較評価する際、サンプル濃度を一致させることに加えて、サンプル検出の向上が重要なポイントでした。図3に示したとおり、カタログ番号PRCYTA-40Kと比較パネルは、アナライト濃度に関して、同等な性能が認められました。  

IL-102、MIP-1β3,4、VEGF-A5、IL-1α6、IP-107,8、IL-229を含む6種類のアナライト濃度は、より文献における値に一致しました。

カタログ番号PRCYTOMAG-40KまたはPRCYT2MAG40Kと比較した、MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルA(カタログ番号PRCYTA-40K)のサンプル相関グラフ。サンプルは、前述した霊長類5種類の血清および血漿、ならびにカニクイザルPBMCサンプル。
カタログ番号PRCYTOMAG-40KまたはPRCYT2MAG40Kと比較した、MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルA(カタログ番号PRCYTA-40K)のサンプル相関グラフ。サンプルは、前述した霊長類5種類の血清および血漿、ならびにカニクイザルPBMCサンプル。
カタログ番号PRCYTOMAG-40KまたはPRCYT2MAG40Kと比較した、MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルA(カタログ番号PRCYTA-40K)のサンプル相関グラフ。サンプルは、前述した霊長類5種類の血清および血漿、ならびにカニクイザルPBMCサンプル。

図3.カタログ番号PRCYTOMAG-40KまたはPRCYT2MAG40Kと比較した、カタログ番号PRCYTA-40Kのサンプル相関グラフ。サンプルは、前述した霊長類5種類の血清および血漿、ならびにカニクイザルPBMCサンプル。

サンプルは、前述した霊長類5種類の血清および血漿、ならびにカニクイザルPBMCサンプルです。

カニクイザルPBMCでは、Con AまたはLPSで刺激した場合に、非刺激のコントロールと比較して、複数のアナライトの濃度の増加が認められました。代表的なデータを図4に示します。

2つのカニクイザルPBMCサンプル中の6種類のアナライト(MIP-1α、IL-6、IL-1RA、TNFα、Granzyme B、Perforin)の平均濃度を示すグラフ。PBMCは、非刺激コントロール、LPS刺激、およびCon A刺激で試験した。

図4.2つのカニクイザルPBMCサンプルにおける6種類のアナライトの平均濃度。PBMCは、非刺激コントロール、LPS刺激、およびCon A刺激で試験した。

新しいアナライトの性能

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAには、MILLIPLEX®霊長類パネルでこれまで利用できなかった5種類の新しいアナライトが含まれています。新しいアナライトは、BCA-1、I-TAC、IFNα2、IL-7、MIGです。表1に、新しいアナライトの解析性能の概要を示します。

表1.MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAの5つの新しいアナライトのアッセイ特性

再現性

経時的にサンプルを評価するときは、プレート間の性能の一貫性が重要です。MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAのアッセイ検証における再現性試験では、10枚の96ウェルプレートで、QC1およびQC2をduplicateで試験しました。4種類のアナライトの代表的なデータを図5に示します。

プロトコルに従って調製したQC1(黄色)およびQC2(青)を10回のアッセイで測定した、再現性試験を示すグラフ。すべてのQCの測定値は、互いに±20%以内であり、キットに同梱のQCレンジ内だった(破線)。

図5.QC1(黄色)およびQC2(青)をプロトコルに従って調製し、10回のアッセイで測定した。すべてのQCの測定値は、互いに±20%以内であり、キットに同梱のQCレンジ内だった(破線)。

まとめ

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAは、1つのパネルに幅広いアナライトを取り揃えています。自由にアナライトを組み合わせることも、38プレックスまたは48プレックスのプレミックスパネルを選択することもできます。この霊長類MILLIPLEX®マルチプレックスパネルには、BCA-1、IFNα2、IL-7、I-TAC、MIGの5種類の新しいアナライトが含まれています。プロトコルとワークフローの改善により、特定の種の霊長類におけるRANTESおよびIL-8を除くすべてのアナライトについて、原液の血清および血漿サンプルを用いて試験できます。これまでのMILLIPLEX®霊長類マルチプレックスアッセイでは、サンプルの原液または1:2希釈が必要でした。このシンプルなサンプル調製の改善により、以前のアッセイと比較して、より簡便で時間のかからないワークフローが実現しました。

ここに示したデータは、血清、血漿、ならびにPBMCおよび細胞培養上清中の疾患バイオマーカーの研究におけるMILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAの有用性を示しています。これまでのMILLIPLEX®霊長類パネルと比較して、標準曲線レンジの拡張またはシフトにより、サンプル検出性が改善されました。標準曲線レンジは、ロット間で一貫性が得られるように固定されており、各アナライトについて最適化されています。サンプルの値は、比較したMILLIPLEX®アッセイと相関性があり、信頼できる性能を示しています。さらに、MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAは、信頼性の高い結果を提供するため、標準曲線の校正の際に、文献で報告されたアナライト濃度を考慮しています。 

MILLIPLEX®霊長類サイトカイン/ケモカイン/成長因子パネルAの開発において、MILLIPLEX®の他の霊長類パネルとのサンプル相関性は、重要なポイントでした。これにより、どのMILLIPLEX®パネルを選択しても、信頼性のある結果が得られます。重要なことは、絶対値は変化する可能性がありますが、サンプルの傾向は変わらないということです。この霊長類パネルに変更する前に、ご自身のラボでこれまでのパネルとの比較アッセイを行うことをお勧めします。

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研究目的での使用に限定されます。診断目的には使用できません。

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