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Chromolith®(クロモリス)カラム:低圧で高性能

研究や製造において高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で作業を行う際、従来の粒子型分離カラムを用いる場合は、最大1400 barの高圧が必要です。しかし、Supelco® ポートフォリオの特別なChromolith®(クロモリス)カラムを使用する場合は、そのような高圧は必要ありません。このカラムは1つの連続体でできており、比較的低いカラム背圧で高品質かつ迅速な分離性能を実現します。このカラムはドイツ・ダルムシュタットでのみ製造されています。

ハチミツの殺虫剤残留物、オレンジジュースの人工着色料、薬物の純度のいずれの処理であっても、クロマトグラフ分離法は、研究や製造の多くの分野において不可欠です。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、最もよく用いられる分析法となっています。

HPLCがそれほど特別である理由は何でしょうか?分離材の超微細粒子が、高い分離性能をもたらします。分離材(固定相として知られます)が微細であるほど、分離性能はよくなります。そして、まさにそこに課題があります。材料が微細であるということは、粒子間の隙間が小さくなるということです。これにより、分析対象物質を分離するための「移動相」に生じる圧力が高まります。

「きわめて小さな粒子を使った高速高性能分離では、300 bar以上が簡単に発生します」と、MerckのライフサイエンスビジネスでSupelco® ポートフォリオのこの分野を担当するプロダクトマネージャーのPetra Lewitsは説明します。「最大1400 barもあり得るのです。しかし、ある時点で限界に達します。この連続的な超高圧は装置全体に負担をかけるためです。微細粒子を充填したカラムは、比較的早く目詰まりします。これはカラムの寿命と分析コストに重大な悪影響を与えます」と、Lewitsは語ります。

しかし、この限界を克服できる解決策があります。固定相をより一層微細にしたカラムを使用する代わりに、1つの連続体でできた分離カラムであるモノリスを使用することができます。1990年代に最初のモデルが公開されたときには、分離性能はまだきわめて低いものでした。日本人研究者の中西和樹氏が、シリカゲルからモノリスの製造に成功すると、状況が一変しました。しかし、製品を市場に出すには、化学的専門知識だけでは不十分でした。彼は製造業界からの支援を必要としていました。当時Merckの研究開発部門で新規クロマトグラフィー材料の研究をしていたKarin Cabreraが、この状況に気づきました。化学の博士号をもつCabreraは、この製品の大きな可能性を認識し、京都大学の同僚に連絡を取りました。

Dr. Karin Cabrera、Dieter Lubdaとそのチームと「彼らの」Chromolith<sup>®</sup>(クロモリス)分離カラム。出典:100 years of chromatography at Merck

図1.Dr. Karin Cabrera、Dieter Lubdaとそのチームと「彼らの」Chromolith®(クロモリス)分離カラム。出典:100 years of chromatography at Merck

シリカゲル形成の背景にある化学は、大きな秘密ではありませんでした。しかし、1つの連続体から分離カラムを製造するための要件が、この工程を従来の工程とは異なるものにしています。モノリスは、特別に調製されたゲル化チューブで形成された後、目的とする円筒形に形成されます。HPLCカラムのサイズごとに、異なるゲル化チューブが使用されます。
マクロポアの孔径は、ポリエチレンオキシドを用いて決まります。続いて、その約100分の1の大きさのメソポアがシリカゲル表面に形成されます。これらが、物質の混合物を分離するために用いられます。

Chromolith<sup>®</sup>(クロモリス)カラム内の小さなメソポアとその約100倍の大きさのマクロポア。出典:「Benefits of Chromolith HPLC Columns」に関するMerckのプレゼンテーション

図2.Chromolith®(クロモリス)カラム内の小さなメソポアとその約100倍の大きさのマクロポア。

しかし、最初に重大な問題を克服する必要がありました。HPLCに使用されるモノリスは、圧力および溶媒の両方の存在下で十分に安定していることが求められます。私たちはこのためだけに、モノリスを高性能プラスチックでコーティングする特別な工程を開発しました。Karin Cabreraの後任であるBenjamin Petersは、次のように説明します。「コーティングが最も困難なステップであり、Chromolith®(クロモリス)カラムの製造の根幹です。これまでに競合他社で、シリカゲルモノリスに同等のコーティングを施すことができたところはありません」そのため、20年経った今でも、この特別な工程はSupelco®ポートフォリオの分析用製品独自のものです。

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